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 ニューヨークで株が大暴落した1929年10月の「暗黒の木曜日」を引き金に、世界に恐慌の嵐が吹き荒れる。当のアメリカでは銀行が続々倒産し、街に失業者があふれて、大統領フーバーに恨みが集まった▼家を失った人々が木ぎれで作った掘っ立て集落は「フーバー村」と呼ばれ、路上生活者のかぶる新聞は「フーバー毛布」と言われた。教科書にも載るその不吉な木曜日が、ふと頭をかすめる向きもあったろうか。週明け、世界的な同時株安が地球を駆けめぐった▼先週末からの下落が、止まらずに加速する形になった。もっとも今回はニューヨークが発端ではない。中国経済の失速への不安だという。投機資金が中国から逃げ出すなどして、上海市場の大幅な下落をもたらした。その連鎖的な波及とされる▼もともと巨大な「バブル」が指摘されていた中国経済だが、ここにきて制御が利かなくなったという見方がある。天体の運行なら寸分違(たが)わず予測できる人知だが、景気の先行きの方程式を見つけるには至っていない▼それゆえだろう、相場にはご託宣めいた格言が多彩にある。「見切り千両」もその一つで、下げの局面では早めに手放すべし、それで大損を避けられるなら目先の損は値千金といった意味だ▼売りが売りを呼ぶ心理もこの辺りにあるのだろう。株には縁なき当方だが、中国とともに世界経済が危うい綱を渡っているのはひしひしと感じる。同時株安が、ひいては世界不況を招くような事態はごめん被りたい。

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