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 1位ディズニーランド、2位ディズニーシー、とくれば、3位はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)ではなく、ふなばしアンデルセン公園。世界的な旅行口コミサイトが意外すぎるランキング結果を発表した。なぜそうなったのか。

 東京駅から電車とバスを乗り継いで約1時間。都心のベッドタウンとして知られる千葉県船橋市の田園地帯。8月の平日、約37万平方メートルの敷地にアスレチックや庭園を有するふなばしアンデルセン公園は、家族連れでにぎわっていた。

 この時期の一番人気「にじの池」の周囲には、来園者が持ち込んだ色とりどりのテントがびっしり並ぶ。水深50センチの池で、浮輪やビーチボールで遊ぶ水着姿の子どもたちの笑顔がはじける。6歳と3歳の子ども2人を連れてきた30代の主婦は、毎週のように通う。「アスレチックや工作ができる施設もあり、日によっていろんな遊び方ができる」という。

 元々は「ワンパク王国」という公園だった。船橋市が1989年に童話作家アンデルセンの出身都市デンマーク・オーデンセ市と姉妹都市提携を結んだのを機に、デンマーク式の風車や建物、アンデルセンの部屋を再現したギャラリーなどが作られ、96年に今の名になった。細谷順子園長は「アンデルセンがテーマの自然公園」と説明する。

「どんな秘密が?」問い合わせ続々

 来園者の約8割が千葉県民という地元密着型の公園が、注目を集めたのは7月。世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表した国内テーマパークの人気ランキングで、1位東京ディズニーランド、2位東京ディズニーシーに次いで、3位に入ったのだ。「うれしいというより、あぜんとした」(細谷園長)という結果に、4位に沈んだ大阪市のUSJの地元関西の放送局からは「どんな秘密があるのか」と問い合わせが相次いだ。

 ランキング効果は絶大だった。発表後の来園者数は1日あたり平年の2倍に。細谷園長は「宣伝広告の予算がほとんどなく、全国的には無名の公園の知名度が一挙に高まった。ありがたい話」。ただ、ジェットコースターや観覧車のような乗り物はない。入園料は大人900円、小中学生200円、年間パスポートが一般3千円。1日券が大人で6千円以上するディズニーランドやUSJと比べると、格安だ。「正直、同じテーマパークの枠でいいのかとは思う」

 なぜ、こんな結果が出たのか。トリップアドバイザーの広報担当者によると、ランキングは、2014年1~12月の各施設への口コミ件数と口コミ投稿者がつける5段階評価の点数をベースに「独自のアルゴリズム(集計方法)」で算出したという。このアルゴリズムは「独自のものであるため非公表」という。

低評価少なく、順位押し上げたか

 サイトを見ると今年8月下旬時点で、ディズニーランドやUSJの口コミが2千~3千件台なのに対し、アンデルセン公園は120件強と少ない。一方、アンデルセン公園は他に比べて、低評価の口コミが極端に少ない。これが順位を押し上げた要因にみえる。「アトラクション、アクティビティー、乗り物などを楽しめる娯楽施設」が「テーマパーク」に分類されるといい、国内では227施設が該当する。広報担当者は「実際に訪れた方が高く評価した施設を紹介しており、人為的な操作はない」と説明。一方で「ランキング結果を信じるかどうかは利用者の判断」と話す。

 飲食店や化粧品などの口コミサイトも「人気ランキング」を出しているが、アルゴリズムを公表しないケースが多い。データ分析会社「学びing」の高橋佑幸さんは「アルゴリズムは、各サイトの『秘伝のたれ』のようなもの」と説明する。アルゴリズム自体は複雑な計算式だが、「集めた口コミデータは客観的でも、どの要素をどの程度重視する計算方法にするかにはサイトを運営する人の価値観が反映される」という。意外性のあるランキングはユーザーをひきつけるコンテンツになるという。

 では、利用者はランキングとどうつきあえばよいか。広告業者などで作るWOMマーケティング協議会の細川一成・事務局長は「膨大なデータを解析して算出するので、人間にとって意外な結果が出ることは珍しくない」。その上で「絶対的に正しいランキングなんてものはない。別の情報と比べて自分で調べることが大切です」と話す。(千葉卓朗)