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思い出す本・忘れない本、半村良著『産霊山(むすびのやま)秘録』

《歌舞伎役者・坂東彌十郎さん》

 半村良を勧めてくれたのは、寿兄ちゃん。今年亡くなった十世坂東三津五郎さんでした。20年くらい前だったかな。もともと本をよく読んでいる人だったけど、勧めてくるのは珍しかったんですよ。「おまえ知ってる? 面白いよ」って。

 生まれたのは兄貴が3カ月先。同い年だし、僕の方が背も高かったから「お兄ちゃん」はおかしいだろうってよく言われたけど、本当の兄みたいに思ってました。

 だから、書店で『産霊山(むすびのやま)秘録』を見つけた時は、すぐに買って読みました。とにかく面白くてびっくりしましたね。映像が浮かんでくる文章で、史実とのつじつまを合わせながらも、想像力を壮大に広げていく。あまりにもスケールが広がるから、オチがつけられなくなって最後は宇宙に飛んでしまう。あんまり面白かったので、僕も触発されて小説を書いてみたことさえあるんです。失踪した恋人を追って、ヨーロッパに行って殺人事件に遭遇する青年の話。途中であきらめてしまって未完ですが……。

 僕は25歳の時、「スーパー歌舞伎」を創始した市川猿之助(現猿翁)さんの下に修行に出ました。親戚からも半分、勘当みたいな形でした。三津五郎さんに最初にその話をした時は、「3年間くらいのつもりでやってきたら」と言われたんですけど、翌日、電話がかかってきて「帰ろうと思ってやるな。もう一生戻ってこないつもりで俺はいるから」って。本当の兄弟みたいだったから、余計に面白くなかったのかもしれませんね。疎遠になったけど、いつのまにか、また、勘三郎さんと3人でよくのむようになりました。半村良の作品について教えてもらったのは、そんな頃でした。

 この本の登場人物を自分に置き…

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