[PR]

 大阪市民が真っ二つに分かれた住民投票から3カ月余り。激戦の末に廃案となった大阪都構想の「再提案」に、大阪維新の会では期待と不安が入り交じり、他会派からは一斉に批判が湧き起こった。

 「都構想は維新の1丁目1番地の政策。出してしかるべきだ」。28日夜、維新の全体会議に駆けつけた大阪市議の一人は意気込んだ。「都構想がなければ盛り上がらない」と述べ、11月の大阪府知事、市長のダブル選挙で都構想を旗印に再び世論を喚起し、「リベンジ」をはかる考えだ。

 しかし別の維新市議は「同じものを出しても、同じ結果になるだけ。橋下徹代表がいなくなれば賛成の票も減る」と疑問視する。

 維新以外の会派は反発を強めている。住民投票で前面に立って反対を訴えた自民党の花谷充愉(みつよし)・府議団幹事長は「住民投票で市民はものすごく悩みながら投票したのに、その結果をどう受け止めているのか。市民をばかにしている」と憤る。住民投票の実施までは維新に協力した公明党の市議も「否決されたばかりなのにありえない。もう協力なんてできるはずない」。

 民主党の中村哲之助府議は大阪府枚方市長選の応援演説で「(維新は)ほかに目玉になる公約が何もないと言っているのと同じだ」と強調。共産党の府委員会幹部も「都構想を掲げてくるなら、引き続き批判していくだけだ」と気を引き締めていた。

枚方市長選が「前哨戦」か

 大阪維新の全体会議では、国政政党「維新の党」の最高顧問を務めていた橋下氏と、顧問だった松井氏の離党理由が説明された。

 松井氏は「自分たちのけじめとして、大阪に全精力を傾注するため、顧問、最高顧問と党員(の立場)をいったん退いた」と語った。両氏に続く離党希望者がいるとされるが、松井氏は「国会議員の数名が(党から)分かれたり、どうのこうのという状態ではないので、一つにまとまって行動してもらいたい気持ちだ」と述べた。

 この日の全体会議は、今月30日投開票の枚方市長選に立候補している、新顔で前大阪維新の会府議の伏見隆氏(47)の決起集会を兼ねたもの。府議団が中心に支援し、橋下氏も応援演説に入った。これに対し、無所属現職の竹内脩氏(66)は政党推薦を受けていないが、自民党や民主党の国会議員が応援に入り、共産党も自主支援する。陣営は今回の離党劇を「政治ごっこにうつつを抜かしている」と批判する。大阪維新と非維新勢力の対決構図となっており、11月の府知事、大阪市長のダブル選の前哨戦の様相を呈してきた。

 枚方市長選には、自民党の前府議や元衆院議員らの支援を受ける新顔で元関西テレビ部長の難波秀哉氏(60)や、市消防団女性分団長で新顔の福川妃路子氏(52)も立候補している。

「もう一度議論を」

 上山信一・慶応大教授(行政経営)の話 批判もあるだろうが、大阪ダブル選を目前に維新が4年間の政策として都構想を掲げるのは当然だ。5月の住民投票で反対派は不安をあおり、賛成派は橋下人気で逃げ切ろうとした。賛否はわずかな差だったため、橋下氏の引退後にもう一度議論すればよい。話し合いでは改革が進まず都構想が必要なことは、橋下氏が首長を務めた7年半で明らかだ。

「正当性がない」

 真山達志・同志社大教授(行政学)の話 住民投票で反対多数となった都構想をすぐに蒸し返すのは、民主的手段として正当性がない。「政界を引退する」と言っていた橋下氏が一転、「大阪に集中する」というのもポーズであって本気とは思えない。維新の党分裂後の「次の一手」を考え、関西で一定の人気を保つ橋下氏の存在価値を示しながら、安倍政権に食い込もうとしているのではないか。