[PR]

 1人1台の時代になった携帯電話。大画面のスマートフォン(スマホ)の普及で、通話だけでなく、ゲームや動画も楽しめるようになりましたが、支払うお金もばかになりません。「ケータイ料金」はもっと安くならないのか。複雑な料金体系の仕組みと課題を7回シリーズで読み解きます。1週間にわたって配信します。

 1日目「それ、割高かも」

 2日目「2年縛りの問題点は?」

 3日目「格安スマホ、安さの理由」

 4日目「SIMロック解除になると」

 5日目「アプリ無料通話、なぜできる」

 6日目「ガラケーは消えるのか」

 7日目「拡大する中古端末市場」

     ◇

 携帯電話の利用料金は年々、増えている。総務省の家計調査によると、2002年は1世帯あたりの平均月額が約4200円だった。それが、07年に6千円を超え、昨年は約7200円。02年の1・7倍だ。

 同じ家計調査で、毎月の平均収入は約49万円から約43万円に減った。家計に占めるケータイの負担はかなり重くなっている。

 最大の要因はスマホの普及だ。スマホの画面は大きく、ゲームアプリを楽しんだり、動画を見たりする利用者が増えた。電話なら音声だけのやりとりだが、動画などはデータの通信量が多い。それだけ料金も上がってしまう。

 民間調査会社のMM総研の今春の調査では、「ガラケー」と呼ばれる従来型の携帯端末の料金は1人あたり平均で毎月約2700円だったのに対し、携帯大手のスマホは約6300円。ガラケーからスマホに乗り換える人が増え、今年3月末にスマホ率は5割を超えた。

 だが、MM総研の横田英明研究部長は「スマホで毎月どれぐらいのデータ量をやりとりしているか把握していない人が多い。使い方と合わない料金プランの場合もある」と指摘する。

 MM総研が、スマホ利用者が通話以外でデータをどれぐらい送受信しているか調べたところ、「毎月2ギガバイト以下」がほぼ半数の約48%に達した。2ギガは、ウェブページを7千回ほど開いたり、標準的な画質で動画を10時間前後見たりすれば達するデータ量とされる。音楽なら500から1千曲ほどダウンロードできるといわれている。

 一方、携帯大手3社で人気の料金プラン(2年契約)は、月2700円の「電話かけ放題」と通話以外のデータを月5ギガまで通信できるコース(月5千円)の組み合わせだ。2ギガまでしか使っていない利用者は、割高の料金を支払っている可能性がある。

 携帯会社からすれば、データ量の上限が低い安い料金プランをもっとPRすれば、他社からの乗りかえも促せそうだ。だが、そういう競争になっていない。低価格化で競うより、長期契約やセット割引で顧客を囲いこもうとしている。

 総務省幹部は「協調的な寡占状態」とぼやく。ソフトバンクが13年に業界4位のイー・アクセス(現ワイモバイル)を買収し、NTTドコモ、KDDI(au)と、大手3社の体制が確立した。それが競争が激しくならない一因だとみる。3社の前年度の純利益の合計は1・5兆円を超え、好業績を続ける。

 そんな状況に風穴をあけるかもしれないのが、昨年から目立ち始めた「格安スマホ」だ。アンテナなどの設備を持たず、大手から回線を借りて携帯事業に参入。販売店網を広げず、テレビCMを控え、経費を抑えて低料金にしている。大手スーパーや家電量販店と提携し、それらの店で加入できるところもある。

 月1千円以下の料金プランもあり、毎月の負担が大手の半額以下になることも珍しくない。家族向けなどの割引メニューはまだ少なく、速度など通信の質も大手に劣るとされるが、利用者は急増している。MM総研によると、今年3月末で326万人。1年間で9割も伸びた。

 新たな競争を、総務省もあと押しする。携帯会社を変えると端末も使えなくなる「SIMロック」の解除を、5月から義務化した。契約が2年ごとに自動更新される「2年縛り」も、大手に見直しを要請した。

 できることが増え、使われ方も多様になった携帯電話だが、それにあわせて携帯会社や料金プランの選択肢が広がるのか。利用者もしっかりと目を光らせる必要がある。(内藤尚志)