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タレント・はるな愛さん

 まず、大人の一人として伝えたい。あなたの「助けて」のサインに大人が気づけなくてごめん。そのつらさ、本当にわかります。

 私の本名は大西賢示(けんじ)。心は女性だけど、男として通わないといけなかった中学校は、暗黒(あんこく)でした。

 だれにも言えない性の悩みだけでもしんどいのに、そこにいじめが加わった。体育館の裏で校庭にラインを引く石灰(せっかい)を口に突っ込まれた。殴(なぐ)られた。蹴(け)られた。何を目的に生きればいいのか。そんなことばかり考えるようになった。

 通学路(つうがくろ)にあった歩道橋(ほどうきょう)で、あのトラックが来たら飛び降りようと、柵(さく)に足をかけたこともある。ひもを首に巻いたことも、頭を壁(かべ)に打ち付けたこともある。だれにも相談できず、真っ暗闇(くらやみ)にいた。

 でもね、死なないで本当によかった。14歳の時、母が経営するラウンジのお客さんにショーパブに連れていってもらった。そこでニューハーフのお姉さんに出会ったの。そのとき、僕(ぼく)は一人ぼっちじゃない、一人ぼっちじゃなかったと知った。自分と同じタイプの人が楽しく生きてる。生まれて初めて、自分も楽しく生きるぞって思えた。

 だから、これだけは伝えたい。学校に行きたくなければ行かなくていい、人に会いたくなかったら会わなくていいから、死のうとする前に、今の場所から動いてみてほしい。きっと君のことを分かってくれる人と出会うから。そのために、家族には打ち明けて。きっと味方になってくれる。あなたが思う以上に、あなたの味方は多いのだから。

 生きていれば、生きているだけでよかったと思える日が来る。私がそうだった。一緒(いっしょ)に生きていこう。(朝日新聞2012年8月2日掲載)

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