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 ほめ言葉をかけ合うなど児童同士のコミュニケーションを深める授業で、崩壊した数々の学級を立て直してきた北九州市の元小学校教諭、菊池省三さん(56)が今春、退職した。恩師の最後の2年間を、28年前の教え子が克明に描いた。伝えたいのは人間の成長の可能性を信じることの大切さだという。

 「菊池省三、最後の教室」(新潮社)を出版したのは、フリーライターの吉崎エイジーニョさん(41)。崩壊学級立て直しのプロとしてテレビで紹介される恩師を、教え子でなければ伝えられない姿があると考え、2013年に菊池さんと共著を出した。立て直しの手法やエピソード、背景にある考えをまとめた。

 理論や形式だけを捉えたかのようにみえる反響も多く、吉崎さんは考えた。学級で起きる児童の葛藤や成長の現実を描くことで、恩師の教育法の本質をもっと伝えられるのではないか。

 新著の舞台は13年4月~15年3月。菊池さんが担任した同市小倉北区の小学校の5年と6年の学級だ。

 吉崎さんはある男子児童に注目した。みんな制服を着ている中、1人だけ私服で登校していた。髪は茶色に染めていた。4年生のときは、注意されると教室を飛び出す子だったという。

 菊池さんは、始業式で男子児童の様子をそれとなく観察し、「ちゃんとおじぎしていたね」とほめることから始めた。

 もちろん、態度はすぐには変わらない。授業中、プリントを丸めて寝てしまう。昼休みが終わっても教室に戻ってこない。それでも強くは叱らなかった。担任への拒否感が強くなると、児童が教師と対立する空気が学級を覆い、崩壊につながるからだ。春先は児童を観察し、指導法を探る我慢の時期とした。

 5月中旬、終業のホームルームで、日直の一日の行動をほかの児童全員が一言ずつほめる「ほめ言葉のシャワー」を始めた。菊池さん独自の指導法で、児童が互いに関心を持ち、ほめられた児童のやる気を育てる効果があるという。

 6月末。男子児童は授業中なの…

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