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変革―証拠改ざん5年:中

 「えっ、釈放ですか?」

 昨年11月17日夜、京都弁護士会の池田良太弁護士(43)は最高裁からの電話に思わず問い返した。

 その12日前、京都の地下鉄で痴漢をしたとして男性会社員(49)が逮捕され、弁護人についた。男性は容疑を否認。電話は、検察の求めに応じて10日間の勾留を認めた京都地裁決定を最高裁が取り消したという異例の連絡だった。

 男性は被害女性の名前や住所を知らない。それでも地裁は、否認の男性を釈放すれば被害者に証拠隠滅を働きかける可能性があると判断した。ところが最高裁は、具体的な理由も示さず漫然と身柄拘束を認めたことを厳しく批判した。

 次の日、最高裁は別事件の保釈をめぐって同様の決定を立て続けに出した。「画期的」。この2事件の決定は刑事弁護の専門誌も取り上げた。池田弁護士も驚く。「以前なら考えられない。一体、裁判所で何が起きているのか……」

     ◇

 今年3月、政府が国会に提出した刑事司法改革関連法案。被告を保釈するかどうかを判断する際には、身柄の拘束を続けると裁判の準備などで不利益を受けないか考慮する。そんな趣旨の一文が盛り込まれた。

 法相の諮問機関・法制審議会の特別部会が証拠改ざん事件の教訓も踏まえ、取りまとめた意見が反映された。部会の席上、身柄拘束への慎重な対応を求めたのが厚生労働事務次官の村木厚子さん(59)だった。

 「否認をすると、長期間勾留されて保釈もなかなか認められない。無実を主張するという本来当たり前の権利が阻害されている」

 「裁判の準備をしないといけない時に閉じ込められ、電話もパソコンも使えず、資料も手に入らない中で裁判の準備をしろということになるわけです」

 いったん逮捕されたら、罪を認めるまで外に出られない。そんな「人質司法」の弊害を村木さんは身をもって経験した。大阪地検特捜部が2009年に摘発し、のちに村木さんが無罪となる郵便不正事件だ。

 特捜部は、実態のない障害者団体が郵便割引制度を利用できるよう偽の証明書を発行したとして、当時の厚労省係長(46)を逮捕。上司だった村木さんの「指示」があったとする虚偽の自白に追い込み、村木さんの逮捕へ突っ走った。

 捜査の見立てにあう供述をした元係長は1カ月で保釈。一方、否認を貫く村木さんの勾留は5カ月以上に及んだ。元係長は村木さんの公判に証人出廷し、涙ながらに「指示」を否定。うその供述をした理由をこう打ち明けた。「身柄拘束が続くのが怖かった」

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