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変革―証拠改ざん5年:下

 「あり得ない」「とんでもないことになるぞ」

 2010年9月、大阪地裁近くの法律事務所。亀石倫子(みちこ)弁護士(41)は同僚らが突然ざわついたのを覚えている。郵便不正事件で起訴され、公判中だった厚生労働省元係長(46)の弁護団約10人の最若手だった。

 大阪地検特捜部検事(48)が証拠品である元係長のフロッピーディスクを改ざんした――。その疑惑が専門業者の鑑定で判明した瞬間だった。数日前、元係長の上司だった現厚労事務次官、村木厚子さん(59)に無罪判決が出ていた。

 検察が描く事件の構図は元係長が04年6月上旬、実態のない障害者団体が郵便割引制度を利用できるよう村木さんの「指示」で偽の証明書を発行したというもの。ディスク内の文書ファイルは、村木さんの「指示」を受けてから証明書を作ったように見せかけるため、最終更新日時が「6月1日」から「6月8日」に書き換えられていた。

 弁護士になって8カ月。亀石弁護士は「真実を追求するはずの検察がなぜ」とショックを受け、思い知った。「権力は時に恐ろしいことだってする」

     ◇

 今年6月、大阪地裁の法廷。連続窃盗事件の被告らの車を追うため、裁判所の令状なしにGPS(全地球測位システム)端末をひそかに取り付けた警察の捜査は「重大な違法」。裁判長が証拠排除の決定を言い渡すと、弁護団6人の主任の座につく亀石弁護士は弁護人席で小さくうなずいた。

 弁護団は実際にGPS端末を付けた車を走らせ、屋根や壁のある場所、高速道路でも位置情報を取得できるか試した。その結果、どんな条件下でもほぼ正確に居どころを把握でき、誤差は最大でも数百メートル。検察側の「GPSでは大まかな所在地しか分からず、プライバシー制約の程度は低い」とする主張を突き崩した。

 5年前、証拠改ざんを目の当たりにした亀石弁護士。「自ら証拠を積み上げて闘う大切さを弁護士生活の早い段階で学べたのは大きかった」と振り返る。

 「捜査的弁護」ともいえる刑事弁護の新たな手法が、若手を中心に広がろうとしている。検察側主張の穴をつく従来型ではなく、独自に証拠を集めて反証する「攻め」の弁護だ。

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