【動画】鬼怒川の氾濫で冠水した茨城県常総市付近=川島善昭撮影
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 台風18号から変わった低気圧の影響で、栃木、茨城両県では記録的な大雨となった。気象庁は10日、両県に大雨の特別警報を発表した。栃木県鹿沼市では川に面した住宅2棟が流されたほか、土砂崩れが起き、行方不明者1人の救出が続いている。日光市でも斜面の土砂が崩れ、巻き込まれた男性2人のうち1人が意識不明の重体。茨城県常総市や古河市では河川の越水や堤防の決壊が起き、茨城県は自衛隊に災害派遣を要請した。

 10日午前8時半現在の総務省消防庁のまとめによると、茨城、栃木、千葉の各県で64棟が床上浸水し、茨城、栃木、千葉などで300棟近くが床下浸水した。また、茨城、栃木、千葉県で約5万3千人に避難指示が出され、全国で約42万5千世帯、約92万6千人に避難勧告が出た。その後もさらに被害が拡大した。

 栃木県鹿沼市日吉町では10日未明、住宅の裏山の斜面が崩れ、女性1人が住宅内に取り残された。茨城県内を流れる鬼怒川は常総市や筑西市の数カ所で堤防から川の水があふれる越水が発生。福島県南会津町では2カ所で橋が橋脚ごと流されたほか、同町舘岩地域で土砂崩れがあり、313世帯833人が孤立している。

 気象庁によると、関東地方から東北地方南部にかけて積乱雲が断続的にかかり、10日夕まで局地的に猛烈な雨が降るとみられる。これまでの雨量が、栃木県では600ミリ、茨城県で250ミリを超え、記録的な大雨となっているところもある。10日午前10時20分までの24時間降水量が、栃木県内の複数の地点で観測史上1位の記録を更新した。日光市五十里で534・5ミリを観測したほか、鹿沼市で432ミリ、栃木市で355ミリ。

 栃木、茨城両県では鉄道の運休や高速道路の閉鎖も相次いでいる。

 JR東日本によると午前11時半現在、日光線、烏山線、水戸線などの全区間と山形新幹線の福島―新庄駅間の上下線で運転を見合わせた。このほか、東武鉄道では宇都宮線、鬼怒川線、佐野線の全区間、東武スカイツリーラインと日光線の一部区間でも運転を見合わせている。関東鉄道常総線でも水海道―下妻駅間で線路が冠水し、運転を見合わせている。

 ネクスコ東日本によると、午後0時半現在、栃木県や茨城県を中心に東北道の宇都宮―佐野藤岡、北関東道の佐野田沼―桜川筑西、圏央道の茂原長南―木更津JCTの両方向で通行止めとなっている。栃木県内の栃木―鹿沼間ではのり面が崩れているという。

 10日午前、政府の関係省庁災害対策会議が開かれ、山谷えり子防災担当相は「栃木県、茨城県など関東地方で記録的な大雨になっている。鬼怒川の氾濫(はんらん)など、各地で氾濫や浸水の被害が発生している。被災者の救助、災害応急対策に全力を挙げてほしい」と指示した。

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 〈特別警報〉 大雨、暴風、高潮、大雪、津波、噴火、地震などで数十年に一度しかなかったり、危険度が非常に高かったりするような災害の発生が予想され、「ただちに命を守る行動が必要」と気象庁が判断した時に出す。特別警報を受けた都道府県は市町村へ通知し、市町村は住民に知らせることが気象業務法で義務づけられている。東日本大震災で大津波警報が迅速な避難に結びつかなかった反省などから2013年8月に始まった。

 気象庁によると、大雨や台風の特別警報は過去に5回発表されている。13年9月の台風18号に伴う大雨では福井、滋賀両県と京都府に出され、死者・行方不明者が7人、住宅256棟が全半壊するなどの被害が出た。京都では、観光地の嵐山が冠水、滋賀では信楽高原鉄道の鉄橋が流され、全線で運休した。14年には沖縄県、三重県、北海道で発令されている。