【動画】車の上で救助を待つ人たちも=吉山健一郎撮影
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 台風から変わった低気圧の影響で関東や東北は10日も記録的な豪雨となった。気象庁は栃木県と茨城県に大雨特別警報を発表。茨城県常総市では、鬼怒川の堤防が決壊して濁流が住宅に流れ込み、12人が行方不明になった。栃木県鹿沼市では土砂崩れがおき、女性が死亡した。同日夜には宮城県で非常に激しい雨となり、気象庁は仙台市などに土砂災害警戒情報を発表し、警戒を呼びかけている。

 鬼怒川上流域の栃木県では10日夕までの48時間の雨量が600ミリを超え、9月の平均雨量を上回った。10日午後9時時点での48時間降水量は、栃木県日光市瀬川で605・5ミリに達したほか、同市五十里でも604・5ミリ。いずれも観測史上1位の値を更新した。茨城県でも300ミリを超える記録的な大雨になった。避難者数は、関東と東北の各県で少なくとも1万3千人に上った。

 茨城県常総市では午後0時50分、鬼怒川の堤防が66年ぶりに決壊。約6500棟がある一帯が冠水し、住宅が流され、県警などに「人が流された」との通報が相次いだ。

 常総市によると、11日午前0時までに353人から救出要請があり、うち70人がヘリなどで救助されたが、271人がまだ取り残され、12人はその後連絡が取れなくなったという。

 また、常総市で周囲の道路が冠水して孤立状態になった避難所が4カ所あり、10日午後6時までに計約810人がとどまっている。同市原宿地区の特別養護老人ホームでも入所者と職員の計81人が孤立している。

 自衛隊は10日午後8時までに常総市と結城市で計404人を救助した。

 常総市は10日未明から地区ごとに避難指示を出し始めたが、決壊した地区に発令したのは特別警報が発表された2時間45分後の午前10時半だった。指示の前段階の避難勧告も避難準備情報も出していなかった。

 朝日新聞のまとめでは、関東と東北地方で10日午後10時現在、1都4県で少なくとも14人が重軽傷を負った。栃木県鹿沼市では10日未明、住宅の裏山が崩れ、小林敏夫さん(65)方民家に土砂が流れ込み、夜に妻フミ子さん(63)が救出されたが死亡が確認された。日光市では10日午前10時半ごろ、増水した小川で清掃作業などを行っていた20代男性が排水部の土管に落ち、救出されたが意識不明の重体となっている。

 家屋の被害も相次ぎ、全半壊は少なくとも栃木県で4戸。床上浸水は茨城県122戸、栃木県34戸、埼玉県41戸などの計216戸で、床下浸水は941戸となった。土砂崩れは栃木県の28カ所が最多で、1都5県で45カ所となった。

 インフラにも大きな影響が出た。東京電力によると、10日午後4時半時点で、茨城、栃木の両県で約3千軒が停電。鬼怒川が氾濫(はんらん)した常総市内では、上空からの救助活動の安全を確保するため、付近への送電を停止。午後5時半時点で約2千軒が停電した。