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 埼玉県熊谷市の民家2軒で4人が殺害された事件から一夜明けた17日朝、亡くなった加藤美咲さん(10)、春花さん(7)姉妹が通う小学校では多くの教職員や保護者らが見守る中、児童たちが集団登校した。小学校の全校集会で悲報が告げられ、死を悼み、悲しみが広がった。

「ショックで言葉がない」

 雨が降る中、加藤美和子さん(41)と美咲さん、春花さんが亡くなった自宅近くでは、警察の規制線越しに、母子を知る人たちが立ち止まって手を合わせた。

 姉妹が通う市立石原小学校によると、姉妹は明るく、来週の運動会に向けて、ダンスや組み体操の練習に励んでいたという。

 美咲さんと同じ5年生の息子を持つ女性(39)は「息子は今朝、新聞をじっと読んで、美咲ちゃんの名前を見て『本当なんだ』ってつぶやいていた。何の罪もない子が犠牲になるなんて本当にかわいそうで、私もどう受け止めればいいのか……」と涙を見せた。

 小学1年と3年の子どもを送り届けた女性(40)は「今朝は現場が目に入らないように登校のルートを変えたけど、やはり気になってしまう。子どもたちが受け止めていけるか心配」と話した。事件を受け、学校から保護者にできるだけ登校に付き添ってほしいとの連絡があったという。校内に入っていく息子に手を振って見送った母親(34)は「子をもつ身として心が痛む。ショックで言葉がない」と声を詰まらせた。

 小学校ではこの日朝、臨時全校集会が開かれた。飯田明彦校長が「大変悲しい事件がありました。夏休みの後、希望に胸を膨らませて元気に登校していた2人が今はいません。命ほど重いものはありません。目を閉じて、心の中で2人に語りかけて下さい」と呼びかけ、黙禱(もくとう)したという。

 今後、市教育委員会からカウンセラー2人が派遣され、児童の心のケアにあたるという。

 亡くなった白石和代さん(84)の知人たちも突然の死を悼んだ。白石さんが週2回、通っていた特別養護老人ホームの運営法人の橋本賢一本部長(60)は「白石さんは10年近く来ていた。穏やかでお友達によく慕われていた。きょうも来られるはずだったのに残念」とうなだれた。

 県警は17日朝から、周辺でさらに被害者がいないか560人態勢で住民の安否確認を進めている。

署の喫煙所で一服、逃げる

 埼玉県警は16日深夜、記者会見し、身柄を確保したペルー国籍の男とみられる男を13日午後に熊谷署に連れてきたものの、その後、所在がわからなくなっていたことを明らかにした。

 説明によると、13日午後1時半ごろ、熊谷市内の消防分署に言葉の通じない外国人がいるとの通報が消防から交番にあり、署員が男を熊谷署に連れてきた。男は署員が通訳を手配する間に「たばこが吸いたい」と言って署内の喫煙所で一服した後、付き添いの署員を振り切って走って逃げたという。

 同日午後5時すぎに、同市石原の住民から「外国人が民家に侵入している」との110番通報が2件あり、署員が現場に駆けつけたが男を発見できなかった。県警は「必要な捜査を行っていた」と説明。一連の対応に問題がなかったとの見方を示した。15日に取った男に対する逮捕状の容疑は、この際の不法侵入容疑という。