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 日本書籍出版協会と日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会は17日、消費税の軽減税率制度に関し、財務省が示した事後還付方式の消費税軽減措置は国民に重い負担を強いる不備の多い制度だとし、出版物への軽減税率適用などを求める緊急声明を出した。

 財務省案について4団体は「欧州などで広く導入されている軽減税率とはまったく異なる仕組み」と指摘。諸外国で運用されている本来の軽減税率の制度設計に着手し、出版物も対象とするよう求めている。

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 日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会が17日に出した緊急声明「消費増税還付『財務省案』に反対し出版文化への軽減税率適用を求めます」の全文。

 今般、財務省は消費税率10%時の負担緩和策として、飲食料品(酒類を除く)の税率2%分を還付する案を発表しました。しかしながら、この財務省案は国民に重い負担を強いる不備の多い制度であり、欧州などで広く導入されている軽減税率とはまったく異なる仕組みです。また、負担緩和の対象からは私たちが強く求めてきた出版物が除外されており、とうてい容認できるものではありません。

 財務省案の問題点は多岐にわたっています。①購入時の支払いには10%が一律にかかるため痛税感の緩和にはならず、消費の落ち込みにつながる②還付金額には上限が設けられるので、負担軽減の効果が減殺される③マイナンバーカードの活用が前提となっているが、カードの読み取り機を全国の小売店に設置する費用が膨大になり、買い物の際のデータを蓄積するための組織創設やシステム構築に新たな財政負担が生じるうえに、システム構築が10%引き上げ時に間に合わない④カードの紛失や盗難などで、個人情報が流出する危険性がある⑤還付を受けるための制度が複雑なため、高齢者などに不公平が生じる――などです。

 出版界はこれまで繰り返し出版文化への軽減税率適用を求めてきました。食が「身体の糧」であるのと同様に、書籍・雑誌・新聞等の活字文化は「心の糧」であり、健全な民主社会を構成するための知的インフラとして必要不可欠だと考えるからです。豊かな読書体験は「考える力」「健全な判断力」を育み、国民の知的水準を維持・向上させ、技術力や国際競争力を強化することにつながります。出版物を容易にかつ低価格で手に入れられる環境を整備することは、子どもたちの将来のための投資でもあるのです。

 ヨーロッパの先進国、アジア諸国では出版物に軽減税率が適用されています。わが国も、根本的な不備のある制度導入のためにいたずらに時間を浪費するのではなく、諸外国で運用され機能している本来の軽減税率の制度設計に速やかに着手するべきです。そして、出版物への軽減税率適用を必ず実現することを強く求めます。