日本最大級のサギ類のコロニーはあるのか ムーミン島探検=斎藤健一郎撮影
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 東海の離島は、自己主張弱め。沖縄にも伊豆諸島にも知名度は及びません。東海の離島は小さめ。佐渡や奄美よりずっとこぢんまりです。でも、行く島、行く島で、いろんな笑顔が咲いていました。急がず、ゆっくり。どこにも負けない、あふれんばかりの島の魅力を探しに行きましょう。

孤高の島にいざ上陸 佐波留島(三重県尾鷲市)

 鳥の楽園を求め、無人島上陸を企てた。三重県南部、尾鷲湾口の佐波留(さばる)島。海を枕に彼が寝ているような島影から、人はムーミン島と呼ぶ。周囲は魚影こく、格好の釣り場でもある。

 三重県の天然記念物だが、島を所有する尾鷲市の担当課は、「誰も一度も行ったことがない」という。正式な上陸記録は19年間ない。80年の調査では、周囲1650メートルの島に、千羽を超えるアオサギが営巣。日本最大級のサギ類のコロニーになっている、と報告書にある。

 特別な上陸許可を取り、9月7日、県や市の職員らと5人で島へ向かった。渡船で15分、船は島に接近した。

 外洋側に回り込むと、木々が生い茂って丸みを帯びた印象だった島の様相が一変した。水面から垂直に屹立(きつりつ)した崖に、波が白く砕ける。ムーミン頭頂部は断崖絶壁だった。人目につかない裏側に、荒々しい自然がむき出しになっている。

 険しい崖の島西岸に、わずかに、上陸できそうな岩場を見つけ、首筋の位置に、しがみつくように取り付いた。19年前の調査に加わった県文化財保護指導委員の山本和彦さん(62)がオッと声を上げた。「ここは岩肌がむき出しだったのに」。目の前に道はなく、木々が密生した急斜面があった。

 90年9月の台風19号で、樹齢100年近い巨木が根こそぎ倒され、島は壊滅的な被害を受けた。今も倒木は至るところに転がっていたが、そこからタブノキ、スダジイ、テイカカズラなどの広葉樹が芽吹き、空を覆い尽くすほど成長していた。

 クモの巣に行く手を阻まれながら、鳥の営巣地を目指してさらに斜面をはいのぼる。褐色のキノコがびっしり張り付く倒木を見つけた。山本さんが言う。「ホウキタケです。木を分解し、微生物が食べて土ができ、岩肌を覆ったのでしょう」

 まとわりつく湿気に汗が噴き出す。立ち止まると、すぐに無数の蚊が寄ってきた。たまらず手で払いのけていたが、そのうち、近づいては来るものの、一向に刺してこないことに気がついた。島で人と遭遇するのは初めてのはず。刺し方がわからないのだろうか。

 バンザイの姿勢のままズルッと急斜面を滑り落ち、腕の内側をすりむいた。目指す尾根は近い。木につかまり、なんとか体を持ち上げると、絶壁の上だった。一歩前進で、真っ逆さま。汗だくの山本さんが「以前島に調査に入った研究者が、サバル島はサバイバル島だと言ってましたよ」と笑った。

 35年前、千羽のアオサギが営巣していたという東南部に進んだが、鳥の気配がない。台風直後の96年調査でさえ、132羽が確認されている場所だが、全員で崖や樹木の上を見回しても、フンの跡すら見つからない。岩や木にこびりついて1年は白い跡が残るというから、サギが島を離れてしばらく経つのだろう、と環境省熊野自然保護官事務所の鎌田遼さん(30)は推測する。

 1時間あまりの汗泥まみれの調査を終え、山本さんは言った。「サギがいなくなった理由はわかりませんが、自然の悪化のせいでないのは確か。壊滅的な打撃を受けた島の植生はむしろ順調に回復していた。またいつか鳥たちが戻ってくるかもしれません」

 愛くるしい島影の佐波留島は、野性的な自然を取り戻しながら、鳥さえ寄せ付けない、孤高の島だった。

ただ、のんびり 究極リゾート 横山島(三重県志摩市)

 大小60余の島々が浮かぶ三重県志摩市の英虞(あご)湾にいま、世界の視線が集まる。サミット開催予定地・賢島の喧噪(けんそう)の目と鼻の先に、静寂の島があった。人口3人。名を横山島という。一軒宿があり、住民は経営者一家らしい。それ以上はさっぱりわからない。

 賢島の遊覧船乗り場の脇から、…

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