【動画】国会前、福岡で安保法案反対デモ=吉山健一郎、横田千里撮影
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 戦後一貫して認めてこなかった集団的自衛権の行使を認める法律が19日未明、成立した。安倍政権が憲法解釈を変え、法案の閣議決定をしてから4カ月。国会を取り巻くデモの人波は、審議が進むにつれて膨らんでいった。18日夜も、多くの人が抗議の声をあげた。

 赤、青、ピンク、色とりどりのペンライトが揺れる。14日から5日連続して、国会前で繰り広げられた抗議行動。18日も、集まった人たちの顔ぶれはさまざまだった。「9条壊すな」のプラカードを持つ人、スーツ姿の人、子連れの人、カップル、老夫婦……。視線の先には国会議事堂がある。深夜、刻々と法案採決に向かう国会の状況が伝えられても、「民主主義ってなんだ!」のコールは鳴りやむことがなかった。

 都内の法科大学院に通う野寺一祈(かずき)さん(25)は、iPadの画面いっぱいに「非立憲は世界の恥」と表示して胸に掲げ、人混みの中を歩いた。デモに何度も通い、見知らぬ人たちと憲法や安倍政権について議論するようになって、「視野が広がった」。法案が成立しても、次の選挙を意識していくという。「明らかに違憲の法律をそのままにしておきたくない」

 文教大の専任講師、早川明夫さん(70)は教員免許の取得を目指すゼミ生ら6人と参加。「将来、子どもたちに教えるのに、この光景を見た方がよい」と誘った。3年生の荒牧優介さん(20)は、政府の強引な審議に反発を感じる。「この安保をめぐる動きを子どもたちに伝えていきたい」と話した。

 著名人も続々とスピーチに立った。作家の室井佑月さんは「今回の戦いは、勝つか負けるかではない。長時間かかっても勝たなければならない。来夏には参院選挙がある。それまで、こつこつと続けることが大事。一緒に頑張りましょう」と声を張り上げた。

 作家の島田雅彦さんは「デモは一見無力かもしれないが、参加したことが友達に、親戚に影響を与え、5万人が10万人になれば、50万人が100万人にもなる」と話した。

 日付が変わる前、社会学者の小熊英二さんが拡声機を握った。「これは何かの始まり。それが何なのかは、私たちが決めなければならない」と声を振り絞った。

「危うい」「現実的な選択」

 安全保障関連法案の国会での最終攻防をどう受け止めたか。各地で聞いた。

 東京・新橋。JR新橋駅前にいた渋谷区の会社員花城大さん(21)は「違憲か合憲かは、専門家でも見方が割れていて、正直よく分からない。そもそも日本の平和が脅かされている実感がなく、法案自体が必要ないと思う」。

 審議がテレビや新聞で多く取り上げられ、普段より注意してニュースを見てきた。「与党は、いかに法案を期限までに通すかという戦術論ばかりを気にしている印象を持った。17日の(参院特別委員会の)採決はスポーツのフォーメーションみたいで、こんな風に決まっていくのは危ういなと感じた」と話した。

 一方、宮城県多賀城市の東北学院大4年、阿部航平さん(23)は「北朝鮮や中国の脅威が迫り、『イスラム国』(IS)が勢力を増す中、改憲では時間がかかりすぎる。法整備で対応することは現実的な選択肢だ」と話す。ただ審議については「法案が違憲か合憲かに議論が終始していた。政権はもっと法整備の必要性を積極的に説明した方がいい」と注文をつける。

 札幌市東区のマンション管理会社員、赤羽政樹さん(46)は「安保法制に賛成はできない」。一方で反対とも言い切れない。「自民党内で異論が出てきておらず、首相のやりたい放題になっている感じがする。どうすれば世界が平和になるのか、日本を守れるのか、いろんな人の声を聞いて、もっといい策を見つけるのが一番だと思う」

各地で連日の抗議

 「むちゃくちゃな論理だ。集団的自衛権の範囲についての政府見解がどんどん拡大している」。鹿児島大准教授の大野友也さん(37)はJR鹿児島中央駅前であった緊急集会に駆けつけて訴えた。市民団体による3日連続の緊急集会に約200人が集まった。

 長崎市であった集会も3日連続の開催。若者グループや平和団体の呼びかけに約750人(主催者発表)が参加した。明治学院大学を休学し、被爆者の体験を世界各地で伝える「ピースボート」の活動に参加した鈴木慧南(けいな)さん(22)は「この国の民主主義はどこに行ってしまったんでしょうか」。

 名古屋市の繁華街・栄では5日連続となる反対集会。2500人(主催者発表)が「野党は頑張れ、国民ついてる」と訴えた。那覇市では平和団体などが中心となった集会に約1500人(主催者発表)が集まった。

 「違憲の法案、今すぐ廃案」。福岡・天神でのデモと集会には、幅広い世代の約250人が参加。大学生でつくるグループなどが呼びかけた。西南学院大生(21)は「後方支援の名目で日本が戦争に向かうかもしれない。あきらめず声を上げ続けたい」と話した。

 買い物で天神を訪れ、デモの様子を見ていた福岡市の女子大学生(18)は「法案に反対だが、賛成の人の意見も理解できるところがある」。そのうえで「(参院の)採決の仕方に胸が痛んだ。賛否双方がもっと話し合うことができればいいのに」と語った。