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 民意を押しのけるようにして、安全保障関連法が19日未明、成立した。県内各地で改めて抗議の声が上がる。憲法学者や元裁判官、元自衛官らも、大義なき法律を厳しく批判した。

 仙台弁護士会は19日、仙台市内で記者会見を開き、岩渕健彦会長が「非常に残念ということに尽きる」と述べた。6日に仙台であった反対集会に、市民約3500人(主催者発表)が来たことに触れ、「国民の声が一切届かないことに強い憤りを感じる」とした。今後も、安保法廃止を求める運動を続けるという。

 気仙沼市では市民有志が朝から抗議集会を開いた。交代でマイクを握り、「数の論理にまかせた強行採決は認められない」「国民に不安を抱かせたままの採決は言語道断」と批判。「賛成議員を来年の参院選で通さないようにしよう」などと呼びかけた。「戦争法に反対する気仙沼市民の会準備会」事務局の千葉哲美さん(67)は、「反対の輪を広げるため何ができるか考えていきたい」と話した。

 大崎市の街頭では、自民党員1人を含む超党派の市議8人が採決強行に抗議し、「関連法を施行させないよう国民運動を盛り上げるのが必要だ」と訴えた。市議会が7月、「国民が納得できる十分な審議を求める意見書案」を可決した際に、賛成した議員のグループ。安倍首相や衆参両院議長に抗議文を送る予定。

 このほか、みやぎ生活協同組合、県生活協同組合連合会がそれぞれ、抗議の意見書を安倍首相や自民、公明両党あてに出した。

「国家の名誉傷つける法」樋口陽一さん

 仙台市青葉区の料亭では19日、憲法学者の樋口陽一さん(81)と元陸上自衛官として発言を続ける泥憲和さん(61)が、安保法制について語る対談があった。樋口さんの母校仙台一高の同窓生らが企画した。

 樋口さんは、安保法案が国会に提出されたのが今年5月15日で、青年将校が首相を射殺するなどした1932年の五・一五事件の日であること、法の成立が日付上は9月18日で、31年に柳条湖事件が起き、日本の満州侵略が始まった日であることを指摘。「5・15に始まり、9・18で終わる。この法律の本質を表している」とした。

 また4月に訪米した安倍首相が、国会提出前にもかかわらず、安保法制の夏までの成立を言明したことを改めて批判。「違憲以前の問題で、初めから国家の名誉を著しく傷つける法律だった」と断じた。

 泥さんは「自衛官は入隊時、憲法順守を宣誓する。法に基づき部下に命令し、戦場で殺し殺された後、安保法に違憲判決が下った場合、どうするのか。命をかける以上、迷いがあってはならない。多くの自衛官が煩悶(はんもん)している」とした。

 対談の場には樋口さんの大学の同級生で、元裁判官の守屋克彦さん(80)も顔を見せた。「法律を適用・執行する立場からも、安保法は今の憲法体系のもとで理屈に合わず、納得できない」と話した。

 ではこれからどうすればよいか。樋口さんは「この間、3度の国政選挙で(自民を)多数党として選び出したのも我々。来年の参院選が決定的な分かれ道になる」と語った。

「さらに説明を」知事コメント

 村井嘉浩知事は安保法制成立について「冷静に受け止めている。国民の理解が必ずしも十分とは言えないとの声もあるので、政府にはさらに説明をおこなっていただきたい」とのコメントを出した。