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1日目終わる

 17:30 井山名人が23分考え、80手目を封じる意思を示した。隣の部屋で封じ手を記入し、その紙を入れた封筒を石田立会人に手渡して1日目が終わった。持ち時間各8時間のうち、消費時間は黒番の高尾挑戦者が3時間14分、白番の井山名人が4時間16分。25日午前9時に再開する。

戦い激化

 16:00 右辺一帯の黒の勢力圏にズカズカと入っていった白22に黒が反発して始まった競り合いが、右辺から中央、下辺にかけて続いている。白は右辺と下辺が分断されたものの、それぞれ単独でしのぎきれば、元々は黒石が多いところだけに言い分が通ったことになる。一方、黒は分断した白を攻める展開にして、勢力圏に入って来られた代償を得たいところだ。

 封じ手ができる時刻まであと1時間半。パラパラと降っていた雨は、いつしか本降りに変わった。井山名人、高尾挑戦者とも前のめりになって、一手一手に熟考する時間が続いている。

おやつ

 15:00 両対局者におやつが届けられた。ともに焼き菓子とグレープフルーツのセット。焼き菓子は中に白あんが入った、桃の形をした山梨の銘菓だ。名人はホットレモンティー、挑戦者はホットコーヒーをつけた。

アマ強豪がプロに挑戦

 14:00 ホテル内で第3局の関連イベントが始まった。山梨県内のアマ強豪5人が、25日の現地大盤解説を担当する内田修平七段、下坂美織二段と対局。その様子をファンら約30人が見つめている。今年度の県アマ名人の劉順宇さん(山梨学院大3年)は甲府市出身の内田七段に挑戦。真剣な表情で盤に向かっている。

 同じ頃、対局室に入っていた歴史学者・磯田道史さんが控室に戻ってきた。感想を聞くと、「人間界のものじゃない!」と興奮気味に語った。

 「発想から決定、検算、そして着手。決断に至る過程の表情の変化が興味深い。息遣いや耳の紅潮、手の小刻みな動き……あそこに座らないと分からない、いろんなものが見られました。人間の脳内を見てしまった気がしました」。観戦エッセーは27日付朝刊で。

歴史学者が観戦

 13:00 午後の対局が始まった。記録係の外柳是聞初段が「時間になりました」と告げると、手番の高尾挑戦者はすぐに33手目を着手した。外はパラパラと雨が降っている。

 歴史学者の磯田道史さん(静岡文化芸術大教授)が観戦に訪れた。対局再開時に対局室に入り、盤側から戦いを見つめている。盤上や両者の表情をうかがい、熱心にメモをとっている。

 専門は日本近世史で、映画化もされたベストセラー「武士の家計簿」の著者だ。囲碁はほとんど知らないそうだが、甲府は武田信玄の地元。戦国武将も愛した囲碁とは何か、観戦を通じ、タイトル戦という最高峰の舞台で探っていただく。27日付の朝日新聞朝刊に磯田さんの観戦エッセーが掲載される。

昼食休憩に

 11:54 高尾挑戦者が33手目を考慮中に、両者が席を立った。少し早めに昼食休憩に入ったようだ。正午までの6分は挑戦者の考慮時間に入れられる。対局再開は午後1時。

 ここまでの消費時間は高尾挑戦者が1時間11分、井山名人が1時間49分。名人が26手目に42分、28手目に31分長考しているのが目立つ。

 昼食は、名人、挑戦者とも天ぷらそばを注文した。熱々のそばに、エビやキス、ナス、カボチャ、大葉の天ぷらが別皿で添えられている。ほかに焼きおにぎり2個、湯葉豆腐とソバの実の小鉢、みかん2個がつく。

甲府の迎賓館

 第3局の舞台は、「甲府の迎賓館」と称される常磐ホテル。JR甲府駅から車で15分ほどの、「武田信玄の隠し湯」と伝わる湯村温泉郷にある。1929(昭和4)年の創業以来、皇室関係者のほか、井伏鱒二や山口瞳ら多くの文人が宿泊している。

 対局室は、3千坪に及ぶ日本庭園に面した離れ「九重」。この日は朝から薄曇りで、庭から富士山の姿は見えないが、木々はうっすらと色づき始めている。

 囲碁・将棋のタイトル戦ではすっかりおなじみのホテルだ。山梨県内での囲碁のタイトル戦は21回目で、そのうち15回が常磐ホテル。今回で11回目となる山梨県での名人戦は、すべてこのホテルで打たれている。

 井山名人は第33期第7局と第38期第5局でここを訪れている。第33期は19歳で名人に初挑戦した時。張栩名人(当時)との最終局に敗れて10代での名人奪取を逃し、夜、部屋でひとり涙を流した場所だ。2年前の第38期も挑戦者として訪れ、この時は山下敬吾名人(当時)に勝って4勝1敗とし、ここで名人返り咲きを決めている。

 一方の高尾挑戦者は、第32期第6局で名人として来訪し、勝利を収めている。以来8年ぶりとなる常磐ホテルでの名人戦、なんとか今シリーズの初白星を挙げて反撃を図りたいところだ。

第3局始まる

9:00 井山裕太名人(26)=棋聖、本因坊、碁聖をあわせ四冠=に高尾紳路天元(38)が挑戦している第40期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第3局が24日、甲府市の常磐ホテルで始まった。2連勝の井山名人が勝って防衛へあと1勝と迫るか、高尾挑戦者が初勝利を挙げて巻き返すか。シリーズの行方を左右する大一番だ。

 午前8時51分、高尾挑戦者が先に入室。紺のスーツに身を包み、表情は穏やかだった。3分後、グレーのスーツ姿の井山名人も対局室へ。こちらは厳しい顔つきだった。

 定刻の9時になり、立会人の石田秀芳二十四世本因坊が「時間になりました。始めてください」と告げると、先番(黒番)の高尾挑戦者はすぐに右上星に第一着を打ち下ろした。続いて井山名人が左下星に白石を置いた。挑戦者が右辺で「中国流」に構えたところで、名人が右上黒にカカっていき、定石通りの進行になった。両者早くも上着を脱いでいる。

 持ち時間は各8時間の2日制。24日夕に封じ手をし、25日朝に再開、同日夜までに決着する。

 25日午後2時から同ホテルで、内田修平七段と下坂美織二段による大盤解説会がある。入場料千円。

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 対局の模様は朝日新聞デジタルの囲碁のページ(http://www.asahi.com/igo/)を通じ、棋譜や、「ニコニコ生放送」の中継でご覧になれます。

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