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 車いす同士が激しくぶつかり合うウィルチェアーラグビー。日本代表はリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権をかけ、29日開幕のアジア・オセアニア選手権に臨む。元代表選手でいまはアシスタントコーチを務める三阪洋行さん(34)に、競技の魅力や代表チームの可能性を語ってもらった。

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 花園ラグビー場の近所に生まれ育ち、当たり前のようにラグビーにのめり込みました。首を脱臼骨折し、車いす生活になったのは大阪・布施工高3年の夏。練習で転がるボールに飛び込むと、他の選手が上に倒れ込んで「バチン」と音がした。首から下の感覚がなくなりました。

 見舞いに来てくれるチームメートはどんどん日焼けする。「頑張れ」って声をかけてくれるのですが、何を頑張ればいいんだろうってつらかった。リハビリも、最初は言われたことをただこなすだけ。前向きになれたのが、ウィルチェアーラグビーとの出あいでした。

 入院から5カ月ほど経った頃、作業療法士の先生が試合のビデオを貸してくれたんです。芝のピッチではなく体育館、ボールも楕円(だえん)球ではなく丸い。最初、ラグビーとは違うなとがっかりしかけました。でも、車いす同士がものすごいスピードで大きな金属音を立ててぶつかった瞬間、自分の中に衝撃が走った。これはラグビーだと。

 早くプレーしたくて、それからリハビリを頑張れた。初めて障害を受け入れられた気がしました。車いすで生きていく人生を認め、新たなスタートを切れました。

 僕自身が引き込まれたように、相手を倒すほど激しいタックルが大きな魅力。その迫力に興味を持ってくれたら、次は戦術の緻密(ちみつ)さを感じてほしい。例えば、秒単位で時間を管理するのがウィルチェアーラグビーです。

 どんな方法でゴールを奪っても1点しか入らず、バスケットボールのように両チームが交互に点を取り合う展開が多い。だから、4回のピリオド(各8分間)のそれぞれで、最後にゴールを決めれば有利になりやすい。残り2分を切ったあたりから「残り1分45秒で点を決め、その次は……」と計算します。ゴール前までフリーで攻め込んでも、あえてすぐには得点しない時もある。「2分ドリル」という練習メニューがあるほど時間の管理にはこだわります。

 世界ではいま、オーストラリア、カナダ、アメリカがトップ3。日本は世界ランク4位ですが、上の牙城(がじょう)を崩すのは本当に難しい。リオの出場権を確保し、本番でメダルを取るため、戦術を練り上げたうえで器用さや俊敏性を生かして勝負したいと考えています。

 四肢に障害があっても、日本選手は外国選手に比べてボールをさばくのがうまい。両腕ではなく片腕で素早くパスを回せる選手も多い。タックルの「芯」を外すような俊敏さもある。残された時間で、そんなプレーの精度を高めていきたい。日本らしい戦い方で体の大きな相手に挑む発想は、健常者、障害者を問わず変わらないと思います。

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