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全日本大学駅伝

 今回、青学大が1次合宿の締めくくりに行う恒例行事の「42・195キロ走」に密着しました。フルマラソンを走り抜いたとは思えない選手たちの笑顔に驚かされました。同時に、ユニークな取り組みの陰にはマネジャーさんたちの準備や支えがあることも知りました。

 恒例行事が行われる前日のこと。昼食をとり、夕方からの練習にそなえて選手たちが休憩している間、男子マネジャーたちが宿舎前にぞろぞろと出てきた。なぜか表情は浮かない。

 「これから下見のために走りにいくんです」と吉田伊吹君(3年)。この恒例行事は今夏で4回目。コースは毎年同じだという。わざわざ下見する必要があるのだろうか?

 吉田君は「道に穴が開いていないか、道路脇に立っている『○キロ地点』という看板が撤去されていないか、確認しておくんです」。なるほど。でも、危険箇所などを確認するだけなら自転車でいいし、全員で走る必要はないのでは……? 「おまえらも同じ苦労を味わえ、という選手からの無言のプレッシャーもあります」と吉田君は苦笑いした。

 男子マネジャー5人は全員が元選手だが、ブランクは様々だ。マネジャーになって一番長いのは嶺仁志君(4年)で約2年。吉田君は今年1月の箱根駅伝後にマネジャーに転向後、ほとんど走っていないという。重い足取りの5人は、宿舎の窓から顔をのぞかせた神野大地主将に笑顔で見送られ、スタートしていった。

 男子マネジャーたちが苦難の旅に出ている間、女子マネジャーたちも翌日の準備に追われていた。原晋監督の「40キロでも35キロでもだめ。非公式でもフルマラソンを走ったということが大事」というこだわりに応えるため、計測器を転がし、195メートルをきっちり測定。トイレットペーパーのゴールテープも用意した。

 さて、男子マネジャーはというと、序盤は笑顔で手を振る余裕があった。主務の内村亮君(4年)によれば、「スタートして一番元気だったのは嶺だけど、一番最初にバテたのも嶺だった」とか。

 およそ3時間45分後。目標に近いタイムで5人とも完走した。吉田君はへたり込み、宿舎の階段を上るのもつらそうだった。5人とも、選手より1日早く、達成感でいっぱいになっていた。そこで、現実に引き戻したのは女子マネジャーたち。「ちょっと!明日も仕事があるんだから、しっかりしてくださいよ」

 その通り。翌日、選手たちがフルマラソンを無事に走りきるのをサポートするのが彼らの最大の仕事。内村君は自転車で選手たちを先導し、そのほかのマネジャーは給水を手伝う。何度かある給水の場面で、1キロ4分のペースで走る選手たちと並走しながら、ドリンクが入ったボトルを手渡さなければいけない。

 吉田君、大丈夫だろうか?と心配していたら、翌日、案の定、「足が動きません……」と宿舎に残ることに。「本番で動けなかったら意味ないじゃん」と女子マネジャーたちから冷たい視線を浴びていた。その吉田君に代わり、女子マネジャーたちが奮闘した。陸上経験がないマネジャーも息を切らしながら、必死で選手と並走し、給水ドリンクを手渡していた。

 完走した選手たちは、達成感と一体感で高まったテンションのまま、記念の集合写真を撮った。頼まれてシャッターを切った。良い笑顔。でも、ちょっとだけ思った。「マネジャーさんたちもみんな、この集合写真に加えてあげたいな」と。(金島淑華)

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