(関西食百景)東方の食よ 開けごま

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文・中川竜児 写真・加藤諒
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小さな王様 トルコの金ごま

 たかがごま、と思っていた。

 されどごま、と思い直した。

 今月4日、トルコ西部・ウシャク地方。太陽が西に傾いた頃、小高い丘にが吹き始めた。

 モスクが立つ中腹の村から農家が集まってくる。女性が持つふるいに、葉や土が交じったごまがドサッと入れられた。弧を描いて揺すると、小さな粒がこぼれ落ちる。ふるいには茎や葉が残り、風が土やゴミを吹き飛ばす。足元にできた、ごまだけの小山が西日を受けて輝いた。

 種まきから収穫、選別まですべて手作業だ。大人の背丈ほどのごまの茎を手で引き抜き、天日乾燥させる。さやが開くと逆さにして棒でたたき、ごまを落とす。選別には1週間かけて、親類、近所が総出で乗り切る。エルサン・アパイドンさん(49)は「太陽と風、先祖からの土地がうまいごまを作るんだ」と言う。

 ごまはアフリカ原産で縄文時代に日本に伝わったとされる。

 「ごま粒ほど」とけなされる小ささだが、脂質やたんぱく質に富む。殺生を戒められた修行僧の栄養源になり、精進料理懐石料理に取り入れられた。

 油としても重宝され、早くから輸入で補った。輸入食材が極めて少なかった100年前、1915(大正4)年の大日本外国貿易年表に、輸入品目としてごまの記載が残る。

こまごま手間ひま 風味100倍

 あえ物、豆腐、ドレッシングに麺類のトッピング――。ごまが一役買う食べ物は数知れない。伝承料理研究家の奥村彪生(あやお)さん(77)は「ごまは万能。使えば必ずおいしくなる。さほどおいしくないものも『ごまかす』んです」と話す。

 なかでもトルコ産は色の鮮やかさで「金ごま」と呼ばれる。別名「ごまの王様」。値段は白ごまの倍近くなることもある。

 「香りが全く違う。店を持っ…

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