安田桂子
衝動的に万引きを繰り返す「クレプトマニア(窃盗症)」と呼ばれる精神疾患がある。犯罪として法廷で裁かれる一方、専門家の治療を受け、当事者同士の自助グループで境遇を語り合うなど、回復をめざす取り組みも全国で広がる。
「懲役1年2カ月に処する」
福岡地裁の1号法廷で証言台の前に立った女性(80)に裁判官が告げた。女性にとって初めての実刑判決だった。7月のことだ。
ショッピングセンターで商品39点、1万4859円分を自分の手提げかばんに入れ、保安員に呼び止められた。万引きで過去に16回検挙され、裁判を5回受けている。もう二度としません――。そう誓った前回の執行猶予判決から2年余り。
同居する長女は、10年ほど前に父が亡くなる少し前、母が何度も検挙されていたことを知った。買い物には必ず付き添っていたが、留守中に母は1人で出かけてしまった。
「今度は刑務所に行くことになるとは考えなかったの?」。法廷で弁護人が尋ねると、「頭にはあったけど。万引きする瞬間にあまり分からなくなりました」。小さな声で答えた。女性は刑の軽減を求めて控訴、今月審理が始まった。
女性は執行猶予中にクレプトマ…
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朝日新聞社会部