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第3章:1

 裏表紙に大きな「マジンガーZ」の写真が貼られている茶色のノートがある。

 埼玉県内に住む佐藤明子さん(仮名)が大切にしているものだ。ページをめくると、裁判員として体験したこと、その間に考えたことが次々と浮かび上がる。「自分の中で忘れたくないと思って作ったものです」。2012年当時の新聞の切り抜きが貼られ、帰宅後に記憶を頼りに自分でつけた裁判の記録が書かれている。

 「マジンガーZ」はマンガに登場する巨大ロボット。主人公の少年が乗り込み、ロボットを動かして、敵を倒していく。

 「自分たちはマジンガーZのようだった」

 裁判の中で証人に立った共犯者が、被告との関係をそう評した。そこに登場した「マジンガーZ」は裁判の象徴のような存在に感じ、インターネットで写真を探し出して貼り付けた。

 佐藤さんは50代。短大卒業後に勤めた会社で夫と知り合い、結婚。2人の息子に恵まれた。主婦としてごく平凡な生活を送ってきた。パートで週3日ほど働く。

 裁判員制度については、始まったことは知ってはいたが、それほど関心はなかった。生活に追われ、新聞を熟読するということもあまりなかった。

 それが、佐藤さんの日常だった。

 10年の秋、裁判員の候補になったという通知が送られてきたときも、「本当に裁判員制度が始まっているんだ」と思う程度。自分には関係ないというのが正直な感覚だった。

 その後はすっかり忘れていた。

 約1年後。さいたま地裁で予定…

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