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第3章:7

 さいたま地裁で裁判員を務めて約半年が経ったころ。佐藤明子さん(50代、仮名)は、裁判員を経験した人たちの交流を目的にした団体「裁判員経験者によるコミュニティ」が立ち上がったという新聞記事を目にした。裁判員を務める前はほとんど読んでいなかった新聞も、経験後はよく目を通すようになっていた。

 団体を立ち上げたという世話人にすぐに電話した。話を聞くと、「経験者同士の交流をはかる。話す内容は、世間話でも何でもOK」と言われた。

 自分にぴったりな団体だと感じた。「だれかに話したい」という自分の欲求を改めて確信した瞬間だった。

 翌月にあった東京での交流会にさっそく参加した。東京やさいたま地裁での経験者6~7人が集まり、たわいのない話で盛り上がった。

 「評議室にお菓子があった」「うちにはなかった」

 「裁判所の建物の入り口で持ち物検査をされた」「こちらはそのまま入れたよ」

 「裁判員の中でも居眠りしている人がいた」

 「裁判員は名前で呼び合った」「いや、こちらは番号だった」

 ほかの人の話を聞くのはおもしろかった。違いはあっても、裁判員という同じ経験をしたからこそ、共有できる感覚があった。

 ふだんの生活では、周囲に話をできる人がいない。守秘義務も気になるし、話してもわかってもらえないだろうとも思うのだ。一般には裁判所など足を踏み入れたことがないのがふつうだからだ。

 交流会に参加して、孤独感から…

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