[PR]

第3章:8

 2012年にさいたま地裁で裁判員を務めた佐藤明子さん(50代、仮名)は、翌13年の6月27日に東京高裁の法廷にいた。

 この日は、自分たちが死刑を言い渡した被告が、判決を不服として控訴した二審の判決日だった。

 インターネットで判決が近いことを知り、東京高裁に電話して、被告人の名前を確認、法廷に足を運んだ。自宅のある埼玉県から2時間近くかけて、東京・霞が関までわざわざ出てきた。

 自分たちの出した判決が高裁に支持されるのかどうか、気になって仕方なかった。

 開始時間より1時間以上前に到着。並んで何とか法廷に入れた。傍聴席は満席。見渡したが、一審で裁判員を務めた人間はほかにだれもいなかった。

 目の前に現れた被告は、一審のときとはまるで違う風貌(ふうぼう)だった。長髪で、よれよれのTシャツを着ていた。弁護人も、一審とは違う見覚えのない人だった。

 佐藤さんは、どんな結果になるのかと、身を硬くして判決を待った。

 言い渡されたのは、「棄却」。ほっとした。

 自分たちが悩んで出した死刑判決が、プロである高裁の裁判官に認められたのだ。「間違ってなかったんだ」。自信のような感情がちょっぴり生まれた。

 だが、一方で、確定すれば、いつかは被告の男性の命が奪われることになる。高裁判決で、その瞬間に近づいたことも事実で、それはそれで複雑だった。

 佐藤さん自身、死刑という量刑を決めるのに、苦しみ、悩み抜いた。毎晩、息子に死刑が言い渡される夢にうなされて目が覚めるほどだったが、それでも、裁判員が量刑を決めることには賛成だ。有罪無罪を決めるだけでなく、かかわった以上は量刑までかかわりたいと思う。

 佐藤さんは言う。「法律の専門…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら