中国で改革開放が始まってまもない1980年代初め、農家の生産請負制の実施に大きな役割を果たし、「農村改革の父」と言われた共産党中央農村政策研究室元主任、杜潤生氏が9日、北京市内の病院で死去した。102歳。明快で進歩的な思想の持ち主として知られ、党最高指導部メンバーの王岐山氏ら多くの党幹部や知識人を育てた。

 49年の新中国成立直後から党幹部として農村問題に携わった杜氏は文化大革命で迫害に遭いながら名誉回復し、83年に党中央農村政策研究室主任、国務院農村発展研究センター主任に就任した。生産を農家の自主性に委ねる生産請負制を巡る論争が党内で続く中、農村での実地調査を踏まえて制度の導入を主張。毎年の農業政策の綱領的文書である「中央1号文件」を82年から5年連続で起草し、中国の農村改革を軌道に乗せた。

 同研究室は王岐山・党中央規律検査委員会書記ら、各分野の改革を担う人材が輩出。習近平(シーチンピン)国家主席らも地方幹部時代、杜氏の指導を請うたとされている。

 同研究室は89年の天安門事件後に閉鎖されたが、杜氏は党内改革派の重鎮として敬愛を集め、改革派雑誌「炎黄春秋」の顧問も長年務めた。

 80年代から杜氏を知る編集者の呉思氏は「意見の違いを健全なことと受け止め、その中から共通点を見いだして解決の方向を示す達人だった。有能な若手をためらわずに抜擢(ばってき)する懐の広さも格別だった」と話す。(北京=林望)