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 北朝鮮は10日、朝鮮労働党創建70周年を迎え、平壌で軍事パレードを行った。金正恩(キムジョンウン)第1書記は演説で人民生活など内政に比重を置き、統治に自信を示した。パレードでは、中国を含む国際社会の批判にもかかわらず、従来通り、弾道ミサイルと核兵器を意識した演出を重ねた。ただ、統治資金不足に苦しみ、軍に十分な資金が回らない様子の一端もうかがわせた。

 正恩氏は演説で、米国との「いかなる形態の戦争にも相対することができる」と述べた。核開発には具体的に言及しなかったが、「並進路線」と呼ぶ経済発展と核開発を同時に進める路線の成果を強調。パレードでは、核物質を連想させるマークを身につけた兵士が行進し、新型の長距離弾道ミサイル「KN08」の改良型とみられる兵器も登場した。ラヂオプレスによると、パレードを実況中継した北朝鮮のラジオは「小型化された核弾頭を搭載した戦略ロケットが、相次いで進んだ」などと伝えた。全体として核・ミサイル開発を続ける方針を示した形だ。

 北朝鮮は党創建70周年に合わせ、人工衛星打ち上げと称した長距離弾道ミサイルの発射実験をすると示唆したが、具体的な兆候は確認されていない。正恩氏は演説で打ち上げに触れなかったが、日米韓では年内に発射実験に踏み切る可能性は残るとの見方がある。

 軍事パレードの観覧席では、正恩氏の隣に中国共産党序列5位の劉雲山(リウユンシャン)・政治局常務委員が並んだ。

 劉氏は正恩体制になって以降、訪朝が公表された中国要人として最高位で、初の共産党最高指導部メンバーだ。中朝関係は2013年の核実験や中国とのパイプ役を担った張成沢(チャンソンテク)・元国防委員会副委員長の処刑で冷え切っていたが、正恩氏と劉氏は9日に会談。テレビでは10日のパレードで両者が談笑する姿も映し出され、友好ムードも演出した。正恩氏が演説で、中国が中止を強く求める核開発に直接触れなかったのは、劉氏への配慮とみられる。

 劉氏の派遣は、中国側の「関係改善に向けた明確なシグナル」(中国外務省系シンクタンク研究者)だ。習近平(シーチンピン)国家主席は9日、祝電に加えて正恩氏と会談した劉氏に親書を託し、「中国は中朝関係を高度に重んじ、両国関係を発展させていく」と伝えた。

 背景には13年以降、米韓などに呼応する形で経済制裁に踏み切り、北朝鮮に圧力を与えてきた政策の手詰まり感がある。正恩体制は核開発を続ける姿勢を崩さず、中国が議長国を務める核問題での6者協議は再開の兆しすら見いだせない。

 中国外務省関係者は「核問題と中朝関係はセットではない。硬軟両面のアプローチを試みるのは自然な判断だ」と話す。国内では経済の低迷が深刻な東北3省の景気のてこ入れのために、北朝鮮の経済改革を促すべきだとの声も強い。

 とはいえ、中国側の期待に、北朝鮮側が応えるかは不透明だ。正恩氏と劉氏の会談について、中国共産党機関紙の人民日報は10日付1面で掲載したが、同日付の朝鮮労働党機関紙、労働新聞(電子版)は3面に載せ、扱いに差が出た。また、中国国営新華社通信は劉氏が「中国は半島の非核化という目標を堅持する」と述べたと報道。これに対し、北朝鮮の朝鮮中央通信は会談を詳しく伝えたものの、核問題に関するやり取りには触れなかった。(ソウル=東岡徹、北京=林望)

資金、「裏経済」頼み

 軍事関係筋は、大勢の市民と軍部隊を動員した記念式典について「治安や統治能力に十分な自信があることを示したい正恩氏の意気込みの表れ」と語った。

 ただ、軍事パレードでは機械化部隊よりも軍人の数が目立った。ジェット機も登場せず、燃料不足に苦しむ軍の現状を映し出した。

 正恩氏は演説で「人民愛」を強…

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