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 11月の大阪府知事選に意欲を示していた平松邦夫・前大阪市長(66)が16日、立候補の見送りを表明した。自民党の擁立候補の支援に回る。民主、共産両党も同時に実施される大阪市長選と併せて、反「大阪維新の会」の方針を決定。5月にあった大阪都構想の住民投票で展開された対決の構図が、再現されそうだ。

 平松氏は大阪市内で開いた自身の政治資金パーティーに自民党の知事候補の栗原貴子府議(53)と市長候補の柳本顕(あきら)大阪市議(41)を招き、2人への支援を求めた。記者団に立候補見送りは、「敵を利することになるから」と説明した。

 住民投票では政党に労働組合なども加わり、反対運動が繰り広げられた。連合大阪などでつくる政治団体「府民のちから2015」はダブル選でも栗原、柳本両氏を推薦する方針だ。民主党府連は16日、ダブル選での府民のちからなどとの連携を確認し、実質的に両氏への支援方針を決めた。

 共産党も「柳本氏は住民投票で連携したので連帯感を持っている。栗原氏も維新政治に真正面から対決する論陣を張ってきた」(山口勝利党府委員長)として「自主的支援」を行う。

 自民党が目指す反維新包囲網。柳本氏も平松氏のパーティーで「大同団結を」と訴えた。ただ、12日に府連会長に就いた中山泰秀衆院議員は、安倍政権と府連の“一枚岩”を強調する。

 住民投票の際、安倍晋三首相ら官邸側が都構想を後押しするような発言を続け、大阪維新に府連と政権の「ねじれ」を突かれた経験がある。リニア中央新幹線など経済政策は自民と大阪維新で大差がなく、与党としての実現力を訴えて、違いを出す思惑もある。

 さらに中山氏は共産党の支援に「こちらから要請はしない」と冷淡で、連立を組む公明党との連携を重視する構えだ。反維新の結集に影響する可能性もある。

 一方、自民党からラブコールを受けた形の公明党はどうか。府本部内では当初は「自主投票」が共通認識だった。公明党が府内の4小選挙区に現職の衆院議員を抱えており、橋下氏が結成する新党に対抗馬を立てられると、厳しい選挙が予想される事情がある。

 だが、公明市議団が9日に開いた臨時会合を受け、雰囲気が変わり始めた。出席者によると、市議19人のほぼ全員が柳本氏を応援すべきだと主張。府本部内には、府レベルでの推薦や支持を目指す動きが出ている。すでに府本部の幹部と支持母体の創価学会が調整中だ。党選対幹部は「市長選の対応はいったん白紙の状態。決着は告示直前になる」との見通しを示した。栗原氏については今後、協議するという。

 知事候補に再選を目指す松井一郎幹事長(51)を、市長候補には吉村洋文(ひろふみ)・前衆院議員(40)を擁立する大阪維新の会は、公明党の動きに神経をとがらす。

 橋下徹代表(大阪市長)は4日の街頭演説で「公明党はまだ、どっちを支援するか言っていない。敵方についたらまた文句ばっかり言う」と牽制(けんせい)した。大阪維新幹部も衆院選での対抗馬擁立の可能性に言及する。

 神経質になるのは、大阪維新にとってダブル選は「負ければ、大阪維新の会は消滅」(橋下氏)という崖っぷちの戦いだからだ。

 前哨戦と言われた大阪府枚方市長選に勝ち、その流れでダブル選を制す――。こうしたシナリオの実現へ勢いを付ける狙いもあり、橋下氏は8月末から、新党結成へ向けて動いた。だが、維新の党との分党協議は決裂。大阪維新の国会議員や地方議員が一斉に維新の党を除籍される事態となった。ここで打った手は、臨時党大会の開催だった。

 議決権を持つ地方議員を多数抱えるだけに、執行部を入れ替える算段だ。大阪維新幹部は「『地方主権』対『中央集権』の戦い。ここで引いてはダブル選にマイナスになる」と語る。橋下氏は16日、記者団に新党の結党大会は31日と表明し、意気込んだ。「ダブル選に向け、みんなで頑張ろうという会になれば」

 大阪市長選には、元北区長の中川暢三(ちょうぞう)氏(59)も立候補を表明している。