テレビ人形劇「ひょっこりひょうたん島」のトラヒゲ役の声で親しまれた俳優・演出家の熊倉一雄(くまくら・かずお)さんが12日、直腸がんのため東京都内の病院で死去した。88歳だった。葬儀は親族で行う。喪主は妻正子さん。12月1日午後2時から東京都渋谷区東3の18の3の恵比寿・エコー劇場でお別れ会を予定している。

 今月16日開幕の舞台「諸国を遍歴する二人の騎士の物語―ドン・キホーテより―」(28日まで)に出演予定だったが、体調不良で降板していた。

 27年、東京生まれ。旧制都立高等学校在学中に演劇を始め、49年には小劇団の「感覚座」結成に参加。56年、劇団「テアトル・エコー」に入団。劇団代表をつとめる。演出家としても活躍。テレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(第1作)では主題歌を歌い、ヒットした。

 69年に故・井上ひさしさん出世作の戯曲「日本人のへそ」で主演と演出を務めたのを皮切りに、70年代にかけて井上さんとコンビを組み、「十一ぴきのネコ」など6本の作品の演出をした。01年にはチェーホフ原作の「くしゃみ」の演出も手掛けた。

 おどけた中にも哀愁のある声で、声優として人気が出た。「ひょっこりひょうたん島」での海賊トラヒゲのほかに、「名探偵ポワロ」のポワロ、「ネコジャラ市の11人」でのガンバルニャン役などの声優をつとめた。98年、勲四等旭日小綬章を受章。

 最後の舞台は14年11月の「遭難姉妹と毒キノコ」だった。