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 夢を見る浅い眠り(レム睡眠)には、続いてやってくる深い眠り(ノンレム睡眠)の時に脳内の記憶定着を促す役割があることを、筑波大と理化学研究所などのチームがマウスの実験で確かめた。脳科学の長年の謎だったレム睡眠の役割解明につながる成果という。22日付の米科学誌サイエンスに論文を発表した。

 レム睡眠は、鳥類と哺乳類だけにみられる状態。ヒトでは新生児期に多く、大人の睡眠時間の約15%を占めるが、具体的な役割は不明だった。

 筑波大の林悠(ゆう)助教(神経科学)らは、レム睡眠からノンレム睡眠へ切り替える脳内のスイッチ役の神経細胞を特定。スイッチを自在に切り替えられるマウスを遺伝子操作で作り出し、レム睡眠の効果を調べた。

 すると、レム睡眠を無くしたマウスは、ノンレム睡眠中に生じるゆっくりとした脳波(デルタ波)が、次第に弱くなることが分かった。逆にレム睡眠を増やすと、ノンレム睡眠中のデルタ波は強くなった。

 デルタ波には記憶形成や脳機能回復の作用があることが知られている。林助教は「レム睡眠によって脳内の記憶の整理が促されていると考えられる」と話す。アルツハイマー病やうつ病など、睡眠中にデルタ波が減少する病気の解明につながる可能性もあるという。(吉田晋)