[PR]

土橋勢至さん(90)長崎市

 「未季さん、どうかおじいさんの願いを分かってください」。土橋勢至(せいし)さん(90)=長崎市=は原爆で失った弟について、アンケートの記述欄からはみ出すほど長いメッセージを孫娘にあてて書いた。整った美しい文字には、焦りとも祈りともつかない思いがほとばしっていた。これほどの気持ちを託され、受け止めきれるのだろうか。孫の長崎純心大3年、市丸未季さん(21)=同=に聞いてみたいと思った。

 メッセージを読み、市丸さんは大きく息を吐いた。「正直……、重いですね」

 勢至さんは爆心地から約4・5キロの長崎市愛宕の自宅に両親と弟2人でいて被爆したが、大きな被害はなかった。すぐ下の弟弘基(こうき)さんは長崎医科大付属医学専門部(現長崎大医学部)に入学したばかりの18歳で、授業中だった。爆風と熱線に襲われて山へ逃げ、翌日、警防団に助けられて自宅によろよろとたどり着いた。外傷はなかったが眠り続け、緑色のものを吐いて衰弱していった。ほとんど話すこともできず、一週間後に亡くなった。

 「どうして自分がこんな目にあい、苦しまねばならないか、わからないまま息をひきとりました」

     *

 市丸さんが弘基さんの話を聞いた記憶は小学2年の頃にさかのぼる。

 その前年の8月9日、小学校の平和集会で初めて原爆のことを知った。高学年が原爆の被害について発表し、怖くて泣いた。近くに住む勢至さんは「昔のことやけん」と慰めてくれた。

 翌年の平和集会。怖くて欠席し…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら