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 米航空宇宙局(NASA)は5日、火星の大気が太陽から吹き付ける高速の陽子や電子(太陽風)によって宇宙空間に流出する仕組みを観測から明らかにしたと発表した。かつて火星には大量の大気と液体の水があったが、太陽風が大気を吹き飛ばし、現在の冷たい砂漠のような表面に変わったことを裏付けるという。

 米科学誌サイエンス(電子版)などに論文が掲載された。NASAなどの研究チームは、昨年9月から火星を周回する探査機「MAVEN(メイブン)」の半年分の観測データを分析。火星表面では、大気の成分が毎秒約100グラムの勢いで宇宙空間に流出しているのを確認した。流出量は太陽風の強さに左右され、年に数回ある強い太陽風に見舞われると、少なくとも10~20倍に急増するという。

 火星は、地球と同じ46億年前ごろ誕生したとされる。40億年前ごろまでは濃い大気に覆われ、表面に海洋が広がっていたが、大気の多くが失われて環境が激変した。地球は地磁気の磁場に覆われており、太陽風の直撃を受けずに済んだことが、地球と火星の環境の違いを生む一因になったとみられるという。(ワシントン=小林哲