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南十字星の下で

 人事、この厄介なもの――。突然のオーストラリアの首相交代から2カ月半余りたち、首都キャンベラではいよいよ、「人事スズメ」たちのさえずりがにぎやかになってきた。

 何しろ、約37万人の首都の住民の多くは、「公務員か研究者」と言われている。誰が飛ばされたとか、戻ってくるようだとか、公務員にとって人事情報は一番の関心事だといっていい。地元の知人によれば、アボット氏が2013年に首相に就任し、緊縮財政を理由に「1万6500人の公務員削減」を発表した日は、「キャンベラ中が葬式のように暗く、落ち込んだ」そうだ。

 役人の人事闘争は、どの国にもある。ただ、オーストラリアでは1987年に人事院(パブリック・サービス・ボード)が廃止され、各省で人事を管理するようになった。90年代半ばからは、各省次官を選ぶ際には首相内閣府次官が推薦し、首相と協議して決める仕組みになった。伝統的な官僚システムを政治主導に転換しようとした80年代前半からの改革の一環だ。つまり、官僚トップの人事には、時の首相の意向が反映されやすくなった。

 さて、オーストラリアの国家公務員15万人の頂点に立つのはだれか。それは、「首相内閣府次官」だ。首相に最も近く、各省の事務方トップである次官人事にも大きな発言力を持つとされている。

 現職の首相内閣府次官は、マイケル・ソーリー氏だ。昨年12月、当時首相だったアボット氏に抜擢(ばってき)された。ソーリー氏はハワード政権時代に国際担当顧問を務め、駐米大使時代には米国との自由貿易協定を締結させた経歴を持つ。

 ハワード氏はアボット氏が父親のように慕い、尊敬している保守連合の先輩だ。ソーリー氏の登用は、ハワード氏を破った憎き労働党からようやく政権を奪還したアボット氏にとって、強い希望だったのは間違いない。鳴り物入りで就任した際、アボット氏は「任期は14年12月1日から5年間」と明言している。19年11月末まで務めるということだった。

 ちなみにソーリー氏は、現在、日本とドイツ、フランスの間で売り込みを競っている「次世代潜水艦」をめぐり、アボット氏に「ぜひ日本製を」と進言した1人と言われている。米国との同盟関係を非常に重視していたからだという。

 ところが今年11月24日、ターンブル首相は「ソーリー氏が民間部門へ戻ることを希望し、来年1月に次官を辞めると伝えてきた」と発表。わずか1年余りでの「次官辞任」のニュースで、キャンベラ中に衝撃が走った。アボット氏からターンブル氏への首相交代は、いわば与党・自由党内の内紛によるものだ。与野党が入れ替わったわけではない。

 それでも、この数カ月でかなり…

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