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 賛成69万4844票、反対70万5585票――。大阪市を二分した5月の住民投票から半年。わずかな差で「ノー」の民意が勝り、廃案となった大阪都構想だが、今回のダブル選で再び、その是非が問われることになった。有権者や識者は、どう見ているのか。

市民の賛否なお渦巻く

 住民投票から間がないためか、当時の賛否は今もそのままという人が目立つ。

 「世の中は進んでいるのに、街も商店街も何も変わらず閉塞(へいそく)感がある」。大正区の無職、松田智江子さん(73)は都構想の全てに賛成ではないと前置きしつつ、こう語った。

 支持の声は大きく二つに分けられる。一つはこうした現状への不満。もう一つは平野区の会社員、松本亮さん(38)が「大阪府・市の二重行政の解消は必要で、改革は道半ば。もう一度争点にするのはいいと思う」と言うように、行政改革への期待感といえる。

 一方、支持しない意見には「住民投票の時、『最後のチャンス』と言っていたのに、何を今さら」(西区の50代主婦)と、再挑戦自体を批判する声が多い。

 だが住民投票後に、揺れ動いた人もいる。JR鶴橋駅前で候補者の演説を聴いていた天王寺区の会社員夏成(なつなり)孝一さん(49)は、大阪の経済状況などに危機感を抱き、都構想を支持した。だが反対多数の結果には、それなりの理由があるのではと思い始めたという。「再挑戦がいいのか悪いのか、見極め切れていない」が、各候補者の演説を聴いて一票を投じるつもりだ。

 都構想の説明が尽くされていないと感じ、反対票を投じたという淀川区のパート従業員本野真由美さん(38)は言う。「住民投票は焦ってやった感じを受けた。都構想のデメリットやその解決策を隠さず、住民に理解が進むならば、(再挑戦は)いいことだ」

橋下氏、出るべきだった

 《漫画家の倉田真由美さんの話》 今の大阪は二重行政になっている部分があり、無駄や利権をなくそうという橋下徹市長の気持ちに濁りはないと感じる。その意味で大阪都構想は実現してもよい政策だと思うし、注目度の高い橋下さんが訴えることで、住民が行政の仕組みに興味を持つことにつながっている側面もある。

 しがらみや圧力がある中での改革は、橋下さんくらいに好戦的でスピーディーに政策を打ち出せる政治家じゃないと難しい。昔のように「しっかり話し合う」と言っていては何も進まない。ただ、人生をかけて大阪都構想を実現させたいのであれば、引退せずに自ら市長選に出るべきだったのではないか。

 都構想は難しくて理解できない人もおり、時間をかけて住民の理解を深めるべきだ。選挙では分かりやすい言葉で、丁寧に説明を尽くしてもらいたい。

敗戦の弁、何だったのか

 《元吉本興業常務の木村政雄さんの話》 半年前、大阪都構想はわずかな差とはいえ住民投票で廃案となり、橋下徹市長は「負けは負け」と語った。あのすがすがしい敗戦の弁は一体何だったのか。橋下さん本人は出ないものの、また都構想を持ち出すなんて論外だ。

 都構想が目指す理念には賛成だった。だが、本気で大阪府と大阪市の二重行政の解消を目指すのであれば、話し合いでもっと目に見える成果を上げられたはずだ。結局、議会を説得する力がなかったのだろう。

 大阪の人には「東京がなんやねん」という判然としないフラストレーションがある。それを代弁してくれるのが橋下さんで、心情に訴える力は非常に卓越していた。大阪経済の立て直しは必要だ。大阪らしい魅力は何なのか、制度論ではなく、医療や観光など「大阪はこれでいくで」という前向きな提案をしてほしい。

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