「おー、日本から来たの?」。そう尋ねたのは、静岡県出身で日系1世の細川明さん(94)。はるばる遠方から来てくれたことへのねぎらいを感じさせる口ぶりに、秋篠宮さまは笑みを浮かべ「ええ、日本から来ました」と細川さんの手を握りました。初対面ながら、祖父と孫の対面のような温かい雰囲気を感じました。

 日本から飛行機で約24時間かかる南米ブラジル。1895(明治28)年、日伯修好通商航海条約の調印で外交関係を樹立してから、今年は120周年にあたります。この節目に、ブラジルを公式訪問した秋篠宮ご夫妻は、10月29日、サンパウロ郊外にある日系老人ホーム「憩(いこい)の園(その)」を訪れました。

 憩の園は、日本人のブラジル移住50周年にあたる1958年に設立されました。日系1世の人たちには日本語しか話せなかったり、身寄りがなかったりする人も少なくないといいます。そこで、余生を日本にいる時と同じような環境で過ごしてもらおうという目的があったそうです。

 取材で訪れた際、在園者71人のうち、50人が日系1世で、大半が85歳以上。最高齢の100歳が3人いて、日の丸を手に秋篠宮ご夫妻を出迎えました。

 紀子さまに花束を手渡したのは、東京都出身の日系1世の森井園子さん(89)。戦時中に東京大空襲を経験。夫を亡くし、戦後にブラジルに移住しました。感極まった表情で目頭を押さえる姿に、離れていた秋篠宮さまも近付き、お二人で森井さんを見守りました。

 ご夫妻は二手に分かれて一人一人に声をかけ、最後に「どうぞこれからも園のみなさまによろしくお願いします」と伝えたそうです。園を運営する社会福祉法人「救済会」の吉安園子さん(87)は「お年寄りのみなさんは本当に喜んでいました」と話していました。

 園には、ご夫妻からプレゼントが贈られました。紀子さまが翻訳を手がけた絵本シリーズ「ちきゅうのなかまたち」が5冊、ポルトガルで書かれた日本の童話10冊、そして、可愛らしい鳥のメジロの絵です。

 「ちきゅうのなかまたち」は世界各地の動物たちの物語。紀子さまが「日本の子どもたちにさまざまな動物たちについて語りかける機会になれば」と、初めて翻訳に取り組んだ絵本で、新幹線や飛行機での公務の移動時間や、幼かった悠仁さまの育児の合間に作業したそうです。紀子さまは児童文学への関心が高く、幼少時から英語の絵本に親しんでいたことを知った出版社側が翻訳を依頼したのが始まりでした。

■皇室への関心、世代超え…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。

980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら