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山口美代子さん(84)福岡市南区

◆小学生へ――《校庭が焼き場になり机や椅子を薪にする、そんなことがない世の中を作って》

 強い日差しが照らす板張りの部屋で、画用紙と向き合う。山口美代子さん(84)=福岡市南区=は、70年前のあの日の長崎を描いている。語り部の時に子どもたちに見せるためだ。

 昨秋、20年ぶりに語り部活動を再開した。一昨年に大腸がんの手術を受け、「今のうちに伝えなければ」という思いが募ったからだ。絵を見せればもっと伝わるはず。そう考え、今年5月から描き始めた。

 1945年8月9日。爆心地から約1・4キロの兵器工場で、魚雷の部品図面を引いていた。14歳だった。天井が光り、「ピンク色の甘い風」を感じた。気がつくと、折れ曲がった机に右足を挟まれていた。頭を切り、血が流れていた。

 火が迫るなか、片方だけゲタをはいて北へ走った。死んだ母親の胸元で赤ん坊が動いているのが見えた。「お姉ちゃん助けて」。全身が焼けただれた4歳ぐらいの女の子がすがりついてきたが、怖くて、ふりほどくようにして逃げた。女の子が持っていた水筒の赤色が、70年たったいまも目に焼き付いている。

 今年7月、ある小学校でのこと。被爆講話で体験を語り終えると、5年生の男の子が手を挙げた。「つらくて思い出したくないでしょう。それなのに話してくれて、ありがとう」

 そこまで考えてくれたことが、…

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