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 フランスのオランド大統領は16日演説し、パリで13日に起きた同時多発テロ事件は「シリアで計画し、ベルギーで組織され、フランスで実行された」と述べた。フランスは事件後初めて、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と称するシリア北部ラッカを空爆し、ISへの攻撃を強めた。警察はイスラム過激派の拠点などを一斉に捜索。事態はISとの全面対決の様相を呈している。

 オランド氏の演説は、ベルサイユ宮殿に上下両院の全議員を招く異例の形式で、党派の違いを超えてフランスが団結し、テロに立ち向かう姿勢を示した。「ISはフランスだけでなく世界中の国々を攻撃してきた。我々はISを倒さなければならない」と強調。テロ対策で憲法を改正し、国家非常事態宣言の3カ月延長、シリアでの攻撃を集中的に進めるとした。

 バルス首相は16日、仏RTLラジオに出演し、欧州で「数日か数週間以内に再びテロが起きる可能性がある」とした。今回の事件で犯行声明を出したISは16日、イスラム教徒に「不信心者を攻撃せよ」と呼びかける新たな動画を2本、ネット上に投稿した。1本は「米国の中心地ワシントンを攻撃する」としている。

 複数の仏メディアは、シリア在住のベルギー人、アブデルアミド・アバウド容疑者(27)が事件の首謀者で、シリアから犯行を指示したと報じた。ベルギーの地元紙によると、昨年1月にシリアに渡航し、ISの戦闘に参加していた。動画サイトでISのプロパガンダ映像に登場、13歳の弟をISの戦闘員に勧誘するなど、ベルギーのメディアに度々登場している。

 ベルギーで今年1月に実行前に摘発された警察署襲撃など大規模なテロ計画、4月のフランスでの教会テロ未遂、8月に武装した男がオランダからパリへ向かう国際特急列車「タリス」に乗り込んだ事件などに関与したとされる。7月には、シリアに送る戦闘員を勧誘したとして、ベルギーの裁判所で本人不在のまま懲役20年の判決を受けた。仏ルモンド紙(電子版)によると、パリでの事件への関与で指名手配されたベルギー在住フランス人、サラ・アブデスラム容疑者(26)とは、2010年にベルギーで同じ刑務所に収監されていた。

 仏警察は15日夜から16日にかけて、過激派の拠点と疑われる場所など、全土で168カ所を捜索。23人を拘束した。パリ事件の捜査では、死亡した実行犯7人のうち、新たに1人の身元が確認された。AFP通信によると、パリ出身のフランス人、サミー・アミムール容疑者(28)で、シリアとイエメンに渡航歴がある。実行犯の特定は5人目で、2人がベルギー在住。

 また、イラクの当局者はAP通信に対し、ISから得た情報として、今回のテロに加わった戦闘員は、当初からフランスでの作戦に特化した訓練をラッカで受けていたと述べた。戦闘員はフランスに入って現地に住むグループと合流し、犯行に至ったという。この当局者は、戦闘員19人と、計画や準備で5人が関与したとしている。

 フランスは14年9月から米国などとともにISを空爆している。空軍は15日夜(日本時間16日未明)、事件後初めてラッカを空爆。戦闘機10機を出動させ、司令部や戦闘員の徴兵センター、軍用倉庫などを標的に20発の爆撃をした、と発表した。(パリ=神田大介、ブリュッセル=吉田美智子)