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 埼玉県熊谷市の特別養護老人ホーム「愛心園」(定員70人)で、認知症の入居者34人が、車いすにベルトで固定されたり、ベッドの周りを柵で囲って出られないようにされたりする身体拘束を受けていたことが、県などへの取材でわかった。いずれも規定の手続きを踏んでおらず、県は法令違反がなかったかどうか調査している。

 愛心園の赤石好康理事長は朝日新聞の取材に対し、少なくとも2年前から手続きを経ずに身体拘束をしていたことを認め、「入居者にけがをさせないための臨時の措置としてやっていた。認識が甘く、申し訳ないことをした」と述べた。

 県福祉監査課によると、同園が身体拘束をしているとの情報を元に、9月4日に特別調査を実施。70~90代の入居者のうち認知症の男女35人に対し、ベッドを柵で囲ったり、体を車いすにベルトで縛ったりしていたほか、排泄(はいせつ)物を自分で触らないよう手袋を着けさせる拘束が行われているのを確認。35人のうち34人について、身体拘束をめぐり厚生労働省が定める手続きがとられていなかったことがわかった。

 厚労省は、高齢者の尊厳を損なうとして、身体拘束を原則禁止。やむを得ず拘束する場合でも、身体拘束以外に介護の方法がないなど、三つの要件をすべて満たすとともに、家族への説明や同意をとることを求めている。(松本麻美)