[PR]

 結婚すると夫婦はどちらかの姓になる。それがあるべき夫婦の姿なのか、結婚後も別々の姓でいることを選べた方がいいのか。みなさんとともに考えます。まず、朝日新聞デジタルのアンケートに集まった声とともに、結婚を前に揺れ動く、ある女性の思いを紹介します。最高裁は来月、この問題で判断を示します。

「名字残して」思わぬ壁 東京都の会社員女性(25)

 私は一人っ子です。ただ、家の名を残すよう親に言われることもなく、「姓なんて大して重要ではない」と思って育ちました。

 昨年の夏、結婚を前提に付き合っていた彼(30)を両親に紹介しました。その時、生まれて初めて、母から「名字を残してほしい」と言われ、衝撃を受けました。母は3姉妹の長女で、我が家では父が改姓していました。

 ただ、彼の両親は「あり得ない」と猛反対。きょうだいもいるのですが、長男の彼が名字を継ぐことを望んでいます。それを聞いて彼も「ぼくの姓を名乗ってほしい」と言うようになりました。

 姓を巡って、彼の両親と私の母親が対立してしまいました。彼の親は私の母のことをよく思っていません。彼の両親と私の間にも、以前より距離ができてしまいました。

 一方、味方だと思っていた母からは「本当にあなたを好きだったら、彼は姓を変えてくれるんじゃないの?」と言われ、傷つきました。彼を紹介してから、母は一度も「おめでとう」と言ってくれません。

 私と彼も、たくさん話し、いっぱい傷つけあいました。私の意見を抑え込まず、向き合ってくれる彼の一面も知ることができましたが、彼と距離を取った時期も、別れ話が出たこともあります。

 私自身、彼と同姓にすべきか、別姓にすべきか、ずっと揺れ動いてきました。別姓にすると、いつか授かるかもしれない子どもが、まわりと違うことに疑問を持つ日がくるのではないか。子どもに苦しい思いをさせるのなら、私ががまんをして同姓にすべきかもしれない。そう考えた時期もあります。

 でも次第に、別姓を選ぶことで、親の考えを子どもに示すことができると考えるようになりました。疑問を持ったら、まわりに流されるのではなく、ちゃんと調べて、自分が正しいと思ったことを貫く勇気が大事だと、身をもって子どもに教えられます。

 別姓であれば、双方の親の主張の間をとることにもなる。本も読んで勉強し女性の側が姓を変えるのが当たり前のような現状にも違和感を感じました。

 何度も話し合った結果、彼も今では「名字を変えて(私が)幸せになれないのなら」と、法改正され、別姓で結婚できるようになることを望んでくれています。今は来月の最高裁判決で原告の訴えが認められ、法改正がなされ、別姓での婚姻届が受理されることになるようにと、すがる思いです。

 判決や法律は、私たちの願い通りにはなってくれないかもしれません。その場合も、2人が納得できる落としどころを見つけないと、絶対にダメだと思っています。どちらかが納得できないままだと、結婚後もこの問題を引きずってしまい、夫婦間でもめ事があるたびに、この件が蒸し返されてしまうと思うのです。

 結婚式場の予約は来年夏に入っています。結婚までの道のりは、もっと幸せで、もっとスムーズにいくもの。そう思っていたので、まさか、姓でこんなことになるとは、思ってもみませんでした。

 私たち2人の幸せが、姓によって引き裂かれるような思いです。なぜ、こんな思いをしなければならないのでしょうか。(聞き手・長富由希子)

     ◇

 アンケートには特に女性から「考え方の尊重」を求める声が目立ちます。(以下、抜粋。夫婦同姓、別姓使用などを表記)

●「結婚と同時にごくありきたりな姓から珍しい姓に変わったので、しばらくは違和感があった。私自身、仕事は結婚後の姓で続けているが、当たり前のように女性の側が姓を変えるべきだという社会の見えない(しかも強い)要請を感じる点で、仕事を続けたい女性にとっては不利なことが多い制度なのではないか。そういうことを一度も考えたことのない男性も多いのではないか」(既婚で同じ姓・50代女性)

●「結婚して初めて取った住民票、旧姓が横線で消されているのを見て、車に戻って泣いた。それまでの自分が消されたような感覚がして。夫の姓を名乗ることに憧れていたし、別姓を望む人を一部のフェミニストだと思っていた節があったので、自分の気持ちの変化は意外だった。職場は旧姓で働くことを認めているし、夫も最初は嫌がっていたけど、いまは理解してくれている」(既婚で別姓使用・30代女性)

●「私自身は自分の姓にそこまでこだわりはなかったので、結婚にあたり夫の姓にしました。それを当たり前のこととはしたくなかったので、『当然私が姓を変えるものと思っていない?』という問いかけはしました。夫は言葉に詰まっていました」(既婚で同じ姓・30代女性)

●「別姓なんてありえません。男女同権の推進とは言いながら実際は女性の優遇のみを推進する昨今の一部の間違った女権拡大論者の言い分のように聞こえてしまいます。夫の姓にするか妻の姓にするかは現在でも選択自由です。夫婦で十分話し合って決めればいいだけのことです」(既婚で同じ姓・30代男性)

●「90%以上の夫婦が、妻が夫の姓になることを選んでいる日本の現状は、制度上は選べるものですが、実際には社会的なプレッシャー(親族や周囲の人、仕事など)によるものが非常に大きいです。女性にとって不自由で窮屈なことがあまりに多いと感じます」(既婚で別姓使用・30代女性)

●「結婚の当事者は、本来結婚する2人。その2人が話し合って決定できることが大切。でも親をはじめとする『家』が大きく関わってくるから、複雑になる。これが伝統的な家制度の名残なんだろうな、と思った」(既婚で同じ姓・40代女性)

●「結婚の時、妻の氏を選択しました。世の中の夫婦たちは、結婚の時にどちらの氏にするか、きちんと話し合っているのでしょうか。『女性差別』だとかいう前に、話すべきことを話し合わなかった自分たちに落ち度があるとは思わないのでしょうか」(既婚で同じ姓・30代男性)

●「結婚当初の5年間は法律婚で妻が姓を変えたが、その後は事実婚で過ごしている。これまで30年間、夫婦で対等に家事や育児を分担してきた。長い結婚生活では、どちらかがどちらかの犠牲になってはいけない。自分の希望する姓を名のり続けることは人生を快適に過ごす条件だと思う」(事実婚で別の姓・60代女性)

●「旧姓がどちらかといえば珍しい苗字(みょうじ)で、あまりすきではなかったのでありふれた苗字の人と結婚したことを個人的にはとても感謝しています」(既婚で同じ姓・30代女性)

●「妻である私の姓を選択しました。夫婦で話し合った結果です。婿養子と勘違いされ、出過ぎた妻だと非難されることもあり驚きました。婚姻制度の現状さえ理解されていないことに問題を感じました」(既婚で同じ姓・30代女性)

     ◇

 女性の社会進出が加速し、国際結婚も珍しくなくなった時代ならではの意見が届いています。

●「結婚による苗字変更に伴う届け出(役所、銀行、印鑑証明など)は煩雑だが、ほぼ女性側の負担である。晩婚化の潮流も踏まえるべき。40代半ばで結婚した自分としては、社会活動の積み重ね(自分の看板)を考えると、苗字を変更することのデメリットが大きい」(既婚で別姓使用・40代女性)

●「離婚、再婚を経験。勤め先の関係者や取引先にまで離婚したと言いたくなくて、離婚後も前の夫の姓を再婚するまでの数年間、そのままにした経験があります」(既婚で同じ姓・50代女性)

●「オーストリア人と結婚して、夫婦別姓でオーストリアで生活しています。夫婦同姓で『なければならない』という考えには、『夫婦は一体でなければならない』という抑圧的なものを感じてしまいます」(既婚で別の姓・40代女性)

●「父との結婚を機に日本に移住した私の母は、家族とは別の姓を名乗っているのですが、そのことが家族の関係にマイナスに働いたとは思いません」(単身・10代女性)

●「夫がイギリス人です。あまり議論されていませんが、日本でも国際結婚であれば事実上、夫婦別姓が可能となっています。日本人同士だと不可能というのは不公平だと思います」(既婚で別の姓・30代女性)

●「仕事では旧姓を使っているが病院では戸籍名になってしまう。病院で死ぬときに戸籍名で呼ばれることを考えるとやるせない。葬式も旧姓ではやってもらえなさそう」(既婚で同じ姓・50代女性)

     ◇

 「夫婦の姓」に関するアンケートをhttp://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。近く2回目のアンケートも始めます。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするでも受け付けています。

こんなニュースも