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 東京電力福島第一原発の事故から3カ月後、「原発さえなければ」と書き残して自殺した福島県相馬市の酪農家の男性(当時54)の遺族が、東電に慰謝料など約1億2800万円を求めた訴訟は1日、東京地裁(中吉徹郎裁判長)で和解が成立した。遺族の弁護団によると、東電が遺族に和解金として数千万円を支払う内容。東電側の謝罪の文言は盛り込まれなかった。

 男性は酪農家の菅野重清さん。2011年6月、自分の酪農場の小屋で自殺した。妻バネッサさん(37)らが「原発事故が自殺に追い込んだ」として13年5月に提訴していた。

 訴訟で東電側は「自殺の原因は男性側にある」と争う姿勢を見せていたが、この日にあった地裁の協議で和解が成立した。弁護団は「政府の避難指示区域外の相馬市の事案で和解したことは意義がある」としている。

 バネッサさんは「和解内容は十分満足できるものではないが、生活も厳しく、小さな子どもたちのために一日も早く平穏な生活を取り戻すために、早期に解決することにしました。私たちのような悲しいことが二度と起こらないようになってほしいと思います」とのコメントを出した。

 東電広報室は「菅野様がお亡くなりになられたことについて、心よりご冥福をお祈りいたします。訴訟の詳細については、コメントを差し控えさせていただきます」としている。