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 性同一性障害で性別適合手術を受け、男性から女性になった後に勾留された被告に対し、東京拘置所が「病気ではない」として女性ホルモンの投与を認めていないことがわかった。弁護人によると、被告は体調を崩しているという。専門家は「心身が不調になる可能性が高く、かなり問題だ」と批判している。

 菊池あずは被告(29)は交際相手の男性を殺害したとして殺人罪で起訴され、1日に東京地裁で裁判員裁判の初公判があった。

 弁護側の主張などによると、被告は男性として生まれたが、性同一性障害と診断され、18歳から女性ホルモンの投与を受け始めた。20歳までに性別適合手術を受け、戸籍上も女性になった。その後も投与は続いていたが、東京拘置所に収容された今年3月以降、投与が受けられなくなった。弁護側は投与を要請したが、拘置所は応じていないという。

 GID(性同一性障害)学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授は「性別適合手術後に投与を受けないと、更年期のような症状が出て、体調不良や不眠、うつなどの症状が出やすい」と指摘する。

 性同一性障害がある収容者のホルモン療法について、法務省は2011年、「特に必要な事情が認められない限り、医療上の措置の範囲外にある」との指針を出しており、投与するかは「個別の判断になる」としている。東京拘置所は「個別の事案については答えられない」としている。(塩入彩)