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 福島県猪苗代町などによる実行委員会が全国から募集した「母から子への手紙」コンテストの表彰式が6日、町体験交流館「学びいな」であった。1481編の中から愛知県一宮市の美容院経営、武藤恵美子さん(49)の作品が大賞に選ばれた。

 このコンテストは、猪苗代町出身の野口英世博士の母シカが渡米中の英世に送った手紙にちなんで2002年に始まった。今年で14回目。母が秘めた子への思いを400字以内の手紙形式で募った。

 武藤さんは、家族に秘密でネコを飼っていた長男への思いをつづった。選考委員長で芥川賞作家の玄侑宗久さんは「想像が膨らむ手紙」と評価し、最終選考委員4人すべてが大賞に推したという。武藤さんは「小さな命を大切にする気持ちを息子が教えてくれた。これまで殺していたハエもクモも、今では外に逃がすように心がけています」と話している。

 大賞、準大賞、日本郵便賞の各1点と優秀賞7点は「学びいな」のホームページで「新着情報」に掲載されている。

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大賞の武藤さんの作品

 母さんはお前に謝ることにした。

 中学三年生夏休み最後の日。お前は汚ないくつ下の中に小さな茶色の子ネコを入れて帰って来た。母さんは動物なんて飼ったことはなかったし、特にネコは目つきが怖くて子供の時から好きじゃなかった。だから、よくあるパターン通り徹底的に、うちでは飼えないと大声で怒鳴りつけたよな。お前が何も言い返さず背中を丸めて、両手でそっと包むように茶色の小さな命を抱いていたのを覚えている。

 その後、近くの空き小屋に毛布やエサを用意して子ネコを育てていたらしいな。お前の妹から聞いた。お前が守り抜いたフワフワの柔らかな生き物はとうとう家族の一員になった。

 遠くで寮生活を送るお前と会うことはほとんどないけど、お前が置いて行ったネコとは毎日一緒だ。時々、(あの時はごめん)と言ってみる。そして、お前にもな。ごめん。(原文のまま)