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第4章:4

 裁判員を務めた松尾悦子さん(41)が仙台地裁で担当した強盗殺人事件。2010年10月19日の初公判を含めて4日連続で法廷が開かれ、土、日を挟んで、翌週の月曜から評議に入った。

 検察側の求刑は無期懲役。2人殺害した共犯者が無期懲役で確定していたことを考えれば、死刑求刑はありえない。予想していた内容だった。弁護側は「有期刑をお願いしたい」などと述べた。被害者が死亡しているから、致死は認めている。無罪主張はできないから、有期刑でということなのだろうと理解した。

 当初、評議は丸一日やると聞いたときは、「ゲー。そんなにやるのか」と思ったが、実際やってみると、退屈することは全くなかった。結局、丸々2日半、みっちり話し合った。

 争点は三つ。①被告は共犯者と殺害する話し合いをしたかどうか②被告は殺害現場でロープを引っ張るという殺害行為をしたかどうか③被告に自首が成立するかどうか――。ひとつずつの争点をかみ砕いて議論していった。

 松尾さんはこんなふうに考えていた。

 この事件は、殺害現場にいたのは、被告と共犯者、そして死亡した被害者の3人だけ。共犯者は「一緒にやった」と言っているが、その言葉を100%信用できるのだろうか。一方で、被告の言っていることも100%信用できるわけではない。グレーだ。あやしいと言えるが、クロとは言えない。真っ黒じゃなければ、つまり検察が100%証明できなければ、殺人について有罪にはできないのでは、と。

 教科書に出ていた「疑わしきは罰せず」の原則通りに考えた。

 裁判官は、裁判員の意見を引き出そうという姿勢だった。裁判員は番号で呼ばれたが、提示された論点はわかりやすく、松尾さんは積極的に自分の意見を言った。なかには、ほかの人に同意する形で議論に参加する人もいたが、みな真剣に考えていた。

 評議の結果、裁判体は、被告が…

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