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 広島・長崎への原爆投下から70年を迎えた今年、原爆や原発事故、核実験やウラン採掘などで放射線被害を受けたと訴える人たちが集う「世界核被害者フォーラム」が、被爆地・広島市で11月21~23日に開かれた。世界10カ国から延べ900人が参加。各地の人々に通底していたのは「核と人類は共存できない」という思いだった。

 3日間の全日程を傍聴した。各地から集った参加者たちは時間を惜しむように発表を続けた。

 最初のセッションはウラン鉱山の被害についてだった。いずれも先住民の暮らす土地。なにも知らされないまま大切な土地が汚されていったとして、政府への不満が募っている。

 米国のペトゥーチ・ギルバートさんは「何十年とウラン生産がおこなわれた。連邦政府もニューメキシコ州も健康調査をしていない」、インド東部にあるジャドゥゴダのアシッシ・ビルリーさんは「どのくらいの汚染があるのかさえわからないのが現状だ。ジャドゥゴダ出身というだけで結婚できないなど差別もある」と訴えた。オーストラリアで英国による核実験被害を訴えるカリナ・レスターさんも「オーストラリアでも同じ問題がある」と共感した。

 ウラン採掘で汚染が起きるということは、兵器利用だろうが、平和利用だろうが、その起点から被害が避けられないということだ。原子力の利用は各段階で放射線の被害を生んできた。発表が進むにつれ、核の被害を受けたのは広島、長崎だけではないことが浮き彫りになっていった。

 中国による新疆ウイグル自治区での核実験を非難するアニワル・トフティさんは「見晴らしのよい家なのに、核実験があったその日はほこりが空から降ってきて何も見えなかった」と証言した。米国の核実験の被害者、メアリー・ディクソンさんは自らを「米国内で米国が落とした原爆のサバイバー(被爆者)」と称し、「軍拡競争は核戦争を防いだのではなく、そのものが核戦争だった」と語った。イラクの医師、ジャワッド・アルーアリさんはイラク戦争で米軍が使った劣化ウラン弾で被害が出ていると訴え、「骨がんの子供など、がんが多発。戦争の前にはなかったことだ」と主張した。

 元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは「日本が唯一の被爆国というのは正しくない。セシウム137は、二つの原爆の1万倍が大気圏内核実験でばらまかれた。原発でも、事故時でも平常運転でも被害者が生まれるのが原子力技術だ。核は根本的に廃棄するしかない」と呼びかけた。

 来年は東京電力福島第一原発事故から5年、チェルノブイリ原発事故から30年の節目の年だ。原発事故への関心も高かった。

 チェルノブイリからは、原発事故の処理作業に従事した「リクビダートル」のアレキサンダー・ヴェリキンさんが参加。「事故から15年、20年と経つなか、我々の仲間もガンによる死亡が増えている。心臓、脳、胃腸などの病気をわずらっている、あまりにも発症率が高すぎる」と語った。

 福島に住んでいた人の発言も相次いだ。飯舘村で酪農を営んでいた長谷川健一さんは「ふるさとの至る所に汚染土が山積みになっている。我々は帰れるのか不安だ。汚染されているところに戻って、どうやって生活するんだ」と述べた。2人の子供を連れて大阪へ移ったという女性は「ロシアは事故の5年後にできた『チェルノブイリ法』で避難の権利がきちんとあるが、日本の子ども・被災者支援法は中身が骨抜きで、実質救われている人がいないと感じている。福島の事故も核被害の一つとして教訓にしなければならない」と訴えた。

 参加者たちの究極の目標は「核なき世界」で共通している。どう歩みを進めていくかも議論になった。

 ディクソンさんは「私たちみんなが潜在的なヒバクシャだ。我々が声をとどろかせることで核兵器を地球上からなくしたい」と語った。ウラン採掘の被害を訴える映画を撮っているインドのシュリ・プラカッシュ監督は「インドでは中国やパキスタンの脅威があり、中産階級は核を支持している。我々は団結しなければならない」と述べた。

 会場からも「各国の政治家、役…

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