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 東京電力福島第一原発事故で全住民が避難している福島県大熊町に、今年もハクチョウが飛来している。ハクチョウだけでなく人も町に戻れるよう、無人の町をパトロールしている「じじい部隊」が餌をやり、復興への思いを託している。

 福島第一原発から3キロの熊川河口。津波で壊れた防波堤の巨大なコンクリートの塊が散乱している。12日、定年退職した町元幹部ら6人でつくる「じじい部隊」のうち2人が、17羽のハクチョウにコメをやった。「クワ、クワ」。鳴き声と、太平洋の波の音だけが響く。

 ハクチョウは11月下旬ごろから、飛来し始めたという。「こいつらだけは、震災前と何も変わらないな」。元町復興事業課長の横山常光さん(63)は、自宅を新築して5年間住んだだけで事故に遭い、避難を余儀なくされている。「こいつらに住民票をやりたいな。町に住んでくれているんだから」とつぶやいた。(伊藤嘉孝)