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 台湾の内政部は12日、実効支配する南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島の太平島に建設していた港湾施設などが完成し、現地で完工式を行ったと発表した。馬英九(マーインチウ)総統の視察が取りざたされていたが、見送られた。南シナ海では中国が実効支配を強めて緊張が高まっており、米政府が慎重対応を求めていたとされる。

 台湾南部から約1600キロ離れた太平島は広さ約0・5平方キロで、自然の島としては同諸島最大。中国やベトナム、フィリピンも領有権を主張する。台湾は約2年かけて3千トン級以上の大型船が着岸できる埠頭(ふとう)や灯台を建設したほか、既存の滑走路も補強した。

 台湾総統府は馬氏の訪問について、「太平島は固有の領土であり、視察に赴くことを排除しない」としていた。台湾紙・聯合晩報によると、馬氏の訪問には米側が懸念を示しており、米国による台湾への武器売却に影響しかねないため見送ったという。式典には陳威仁・内政部長らが参加した。ただ、馬氏はいずれ視察に踏み切るとの見方も残る。

 米国の元駐台代表で台湾・清華大学アジア政策センターのスタントン主任は「11月に中台首脳会談が行われたばかり。馬氏が訪問すれば中台が南シナ海問題で連携していると受け止められる可能性があった」と指摘した。中国は台湾を領土の一部と考え、台湾の領有権は中国の領有権につながると見ている。(台北=鵜飼啓)