【動画】いじめアンケートの一部開示を命じる判決で遺族らが会見=鎌田悠撮影
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 鹿児島県出水市で2011年に自殺した市立中学2年の女子生徒(当時13)の遺族が、いじめの有無を学校が調べたアンケート結果の開示を市に求めた訴訟の判決が15日、鹿児島地裁であった。鎌野真敬裁判長は、結果の一部について市の不開示決定を違法と認め、個人情報を伏せて開示するよう命じる判決を言い渡した。

 女子生徒は11年9月、市内の九州新幹線の跨線橋(こせんきょう)から飛び降りて死亡した。学校は全校生徒を対象にアンケートを実施。市教委は回答などをもとに「(自殺の)直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった」と結論づけた。遺族は市の情報公開条例に基づいて2度、アンケート結果の開示を求めたが、いずれも不開示とされていた。

 市側は、回答の一部でも開示すればインターネット上に生徒の実名が出るなどして個人のプライバシーや名誉が侵害される恐れがあると主張していた。

 判決で鎌野裁判長は、回答を原文のまま転記した「アンケートまとめ」については、生徒の固有名詞や性別、部活動名などを除けば「公にしても特定の個人を識別することはできなくなる」と指摘。市条例の不開示事由には当たらないとの判断を示した。一方、手書きの回答用紙については、筆跡から回答者を特定できるなどとして開示を認めなかった。

 判決後、記者会見した女子生徒の祖父で原告の中村幹年さん(65)は「真相に近づけず苦しみ続けてきたが、一筋の光が見えた。事件解決のスタートラインに立てた。さっそく墓前で孫に報告したい」と涙ながらに語った。

 遺族への適切な情報提供を定めたいじめ防止対策推進法は、大津市立中学の男子生徒が自殺した問題をきっかけに13年6月に成立した。会見には男子生徒の父親(50)が同席し、同法と個人情報保護法のはざまで混乱が生じていると指摘。「国が具体的な基準を示すべきだ」と訴えた。

 出水市教委の溝口省三教育長は「判決を重く受け止め、対応を検討する」と述べた。(鎌田悠)