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【2009年2月12日 朝刊生活面】

 介護が必要となって、有料老人ホームやケアハウスなどで老後を過ごす人は少なくない。でも、元気なうちは住み慣れた自宅で過ごしたいもの。住み替えると、どう生活が変わるのだろうか。住み替えどきは、いつがいいのだろうか。

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 もしも介護が必要になったら、あなたはどこで介護を受けたいだろう。

 内閣府の調査(03年)によると、「可能な限り自宅で介護を受けたい」人が最も多くて45%。特に男性に多く、理由は「住み慣れた自宅で生活を続けたいから」が大半を占める。

 一方、女性では特別養護老人ホームや老人保健施設などでの介護を望む人も38%おり、自宅の39%とほぼ同じ。施設を望む理由は「家族に迷惑をかけたくないから」が多い。

 現実はどうなのか。

 有料老人ホームの紹介事業を営む「介護情報館」(東京)の館長、中村寿美子さんによると、介護のために住み替えを考える時期はだいたい80歳ぐらいで、ひとり暮らしや子どもがいない夫婦だと、もう少し早い。突然倒れてしまい、施設に関する知識もなく、どうしていいかわからずに慌てて相談に来る人も少なくないという。

 中村さんは「00年に介護保険が始まり、保険サービスを利用してぎりぎりまで自宅で過ごす人が増えた。住み替える年齢もずっと遅くなっています」と言う。

 介護保険では、介護の必要度に応じて決まった額まで、排泄(はいせつ)や入浴などの訪問介護、訪問看護、福祉用具のレンタルなどのサービスが利用できる。本人負担は1割。自宅で介護を受ける人たちの平均的な費用は月3万5千円ぐらいだ。

 足腰が弱っても自宅で暮らすには、段差の解消などバリアフリー化も欠かせないが、住宅改修も20万円を上限に介護保険サービスを利用できる。

 ただ、介護保険だけでは万全ではない。NPO法人シニアライフ情報センター(東京)の池田敏史子事務局長は「介護保険は計画に基づきサービスを給付するもので、緊急時の対応は不十分。家族など、緊急事態に助けてくれる人の存在が欠かせません」。

 不安なら、早めに有料老人ホームなどケア付きの施設に住み替えた方が、安心はできる。ただ、自宅にしろ施設にしろ、利点もあれば欠点もある。

 自宅なら慣れた住まいで自由な生活を送れる一方で、掃除や食事に労力がかかるし、社会的孤立にもつながりかねない。

 施設だと、設備は整っているし、食事も栄養を考えたもの。ほかの入居者との人間関係も広がる。でも居室は一般に狭いし、ほかの入居者とうまくいかない恐れもある。

 「何を重視して、在宅と施設どちらを選択するか。いずれにしても覚悟が必要です」と池田さん。中村さんは「元気でも、65歳になったら介護保険の勉強をする。70歳になったら自分はどこで死を迎えたいか考えて、どんな施設があるか勉強した方がいいです」と助言する。(山田史比古)

 ◇私の場合

入居一時金高すぎる 60代に入って切実に高齢期の住まいや最期のあり方を考えるようになった。わが家は2階建ての一軒家なので、老夫婦がどちらか1人になった時は広すぎて不便だ。介護付きの住まいを調べてみたが、別居して賃貸に住んでいる子どもたちに親の家くらいは無傷で残してやりたいと思うと、入居一時金が高すぎる。駅前や繁華街でなくても、交通の便がよければ自立した高齢者には十分。一時金が500万円以下で、家賃と生活費を厚生年金でまかなえるようなケア付き住宅が全国に広がることを願ってやまない。(愛知県 主婦 63歳)

葬式の方法、固執せず 夫は現代の仏教への疑念から葬式をせずに散骨と書き置いた。別に家族に残した言葉は「みんな仲良く」だった。没後、長兄に夫の書き置いた紙を見せると困惑された。結局、私の判断で「みんな仲良く」を優先し仏教式の家族葬にした。「長生きして悲しい目にあった」と嘆く夫の母の心が慰められるようにとの配慮だった。子どもは「父の遺志は?」と不満げだったが、葬式には人生の完結の過程を共有する意義がある。基本的に「みんな仲良く」できるよう、自分のやり方やしきたりに固執せず方法を選べばいいと思っている。(仙台市 主婦 57歳)

 ◆在宅介護いくらかかる?

介護保険料以外の平均費用

介護・福祉サービス  14437円

介護用品       10740円

医療          3875円

寝具や衣類       2536円

排泄(はいせつ)介助  1571円

その他         1513円

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計          34672円

 (1人が要支援以上の場合の月額。01年家計経済研究所調べ)

 ◆自宅と施設の利点・欠点

 【自宅】

 <利点>             <欠点>

使い慣れた住まい      ←→ 維持が大変

食べ慣れた食事       ←→ 作るのに労力

自由な生活         ←→ 孤独・孤立も

自分でサービスを選びやすい ←→ 家族の協力が必要

 【施設】

 <利点>             <欠点>

介護設備が充実       ←→ 慣れるまでに時間

栄養を考えた食事      ←→ 口に合わないことも

新しい人間関係       ←→ わずらわしいときも

24時間対応サービス    ←→ サービスがある程度制限

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