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【2009年2月26日 朝刊生活面】

 「終(つい)のすみか」だと思って選んだのに、予想と違ったりトラブルがあったりしては台無し。転居せざるを得ないこともあります。契約する前に、どこに注意すればいいのでしょうか。

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 国民生活センターなどに寄せられた有料老人ホームについての相談は03年度の151件から07年度に327件に増えた。高齢者施設の情報を提供する「もも編集室」(京都)にも「2週間で退去したが、入居一時金が返還されない」などの相談が来る。行事や散歩が別料金で、見積もりより月の負担が十数万円増えたとの報告もあった。調査に行くと、お金を払えず行事に参加できない入居者も。

 チーフコンサルタントの山中由美さんは「命と財産を預けるのだから、資料や情報を収集し、焦らずよく勉強して」と注意を促す。

 同じケア付き住宅に見えても介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)などに分かれ、適用される法律や規制が違う。まずは介護サービスの提供の仕方や、利用権と賃貸借契約での建物への権利の違い、都道府県の検査の有無など知っておきたい。経済危機の影響で参入企業の倒産も相次いでいて、経営状況の確認も必要だ。

 その時に欠かせないのが重要事項説明書。有料老人ホームの場合、06年から交付が義務づけられた。事業主、利用料、職員体制や医療との連携、入居状況、サービス内容などが記載されている。「事前に説明書を出ししぶると要注意です」と山中さん。同様の重要事項説明書はない高専賃でも介護保険サービスを提供できる特定施設なら、都道府県の介護サービス情報の公表で4月から同じ項目が確認できる。

 財務諸表は出すか出さないかで、情報公開の姿勢を読み取れる。入居率は資金繰りの手がかりに、職員の離職率はサービスの質を知るヒントになる。

 見学や体験入居も不可欠だ。1週間程度入居し、職員が少なくなる夜の様子も確認を。家族もできれば1泊することをすすめる。

 「日本有料老人ホーム紹介センター」(東京)のアドバイザー、武谷美奈子さんは、有料老人ホームの場合、トラブルが多い返還金制度や入居金の償却期間の確認をすすめる。90日間ならクーリングオフ(契約解除)ができる。倒産に備えた入居金の保全措置があるかも確認する。

 愛知県で介護施設の調査をする「介護施設と地域を結ぶ市民の会」の山下律子代表は「自立向けの居室では、認知症や寝たきりになると退居や介護居室への移動を求められることが多い」という。終身賃貸借方式でも、集団生活できない場合の退居を約束させられることも。いつまで暮らせるか事前確認は不可欠だ。

 元気な時は、見学で要介護者向け居室を確認する人は少ない。だが、以前調べた寝たきり高齢者専用の賃貸住宅は窓やナースコールもない部屋で、巡回は3時間に1回だけだった。「住み替えはいざという時の安心のため。チェックして欲しい」(帯金真弓)

 ◇私の場合

 ◆体験入居で確認 19日の「私の場合・ホームに幻想を抱かないで」を読みました。夫婦で有料老人ホームに入居して16年。一番ありがたいのはいつでも安心できることです。24時間、医師、看護師、介護士がいてくれ、正月の晩に手をけがしてもすぐ処置してくれました。認知症や足が不自由になって介護室に移った友人が、十分な介護を受け悠々と暮らしているのを見て、うらやましいと思うほどです。ホームを選ぶ時にどこを見るかということだと思います。体験入居でクリニックや介護居室を見せたがらなかったホームはやめました。(奈良県 馬詰真一郎 93歳)

 ◆行政の責任で質保障を 周囲にも住み替える人が出始め、見聞きしているが、質は玉石混交のようです。個人やNPOが設立した施設も多いのですが、理念が良くても経営が悪ければ入居者にしわ寄せが来ます。さりとて高額な入居費を払っても、その後、質が落ちたとの話もよく耳にします。経営者の方針や役所の検査はどうなのか、施設で働く人々の介護者としてのレベルや待遇面はどうなっているか、不安は多々あります。今は不安だらけで迷っています。質素でいいから安心して暮らせる老人ホームを増やし、行政の責任で質を保障してほしい。(神奈川県 無職女性 69歳)

高齢者住宅の主なチェック点 介護は?費用は?

 ※重要事項説明書や訪問で確認

 <契約・費用>

 ・居住の権利(利用権方式・賃貸方式)

 ・利用料の支払い方(一時金方式・月払い方式・併用方式・選択方式)

 ・入居金額と内訳

 ・償却金(額・初期償却の割合・期間)

 ・月額費用と内訳(食費・管理費・光熱水費・家賃相当額など)

 ・別途費用の有無(おむつ・買い物・通院付き添いなど)

 ・クーリングオフ(契約解除)が文書化されているか

 <医療>

 ・協力医療機関(診療科目・所要時間など)

 ・認知症への対応(在籍数・介護度など)

 <介護>

 ・職員人数と内訳(ヘルパー、看護師、事務員、栄養士ら)

 ・夜間の体制(ヘルパー、看護師、医師ら)

 <入居・退去>

 ・契約の解除(認知症や病気でもいられるか、退去の条件は)

 <食事・活動>

 ・食事メニュー(内容・選択可能か)

 ・病気などへの対応食の有無

 ・イベントやサークル(数・開催頻度)

 <雰囲気や様子>

 ・入居者の様子(いきいきしているかなど)

 ・スタッフや施設長の様子(あいさつをするかなど)

 ・運営懇談会の有無や苦情対応の態勢

 ・共用トイレのにおいや食堂が汚れていないか

 (日本有料老人ホーム紹介センターによる)

有料老人ホーム検討時にそろえたい資料

 ・重要事項説明書

 ・契約書

 ・管理規定

 ・財務諸表

ホーム安全度チェックの目安(もも編集室・山中由美さんによる)

 【入居率】70~80%(複数の系列ホームの平均値)

 【過去1年の退去者数と理由】死亡以外の転居や入院をチェック

 【過去1年の職員の離職率】20%以下を目安に

 【財務諸表】情報公開の姿勢チェック(バランスシートはわかる人に相談)

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