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【2009年3月5日 朝刊生活面】

 有料老人ホームには「健康型」「住宅型」「介護型」があります。そのうち増えているのは住宅型。介護保険サービスの利用の仕方や費用の負担の仕方にどんな特徴があるのか、調べました。

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 高齢者住宅のコンサルティング会社「タムラプランニング&オペレーティング」(東京都)によると、08年に新設された住宅型ホームは303カ所で、05年の4・7倍に上る。国が、費用のかかる介護型の増加に規制をかけていることが背景にあるとみられる。

 住宅型で気を付けたいのは、介護サービスだ。常駐するホーム職員が介護を提供する介護型と違い、住宅型は入居者が外部の介護事業者と契約する。自宅で介護保険を使う場合と同様に、要介護度ごとに決められた限度額の枠内で利用分の1割を支払う。デイサービスやデイケアも使える。

 住宅型ホームの職員は基本的に、食事や掃除、緊急時の対応をする。

 ただ、ホームに訪問介護事業所などが併設され、ホーム職員が兼務で入居者の介護にあたる場合がある。入居者にとっては、介護型と同じように顔なじみの職員のケアが受けられる。ただ、サービスが介護保険でまかなわれているのか、ホーム独自のものなのか区別がつきにくく、費用の負担がわかりにくい面がある。ホームの中には、保険外サービスについて、生活支援費などの名目で毎月数万円の費用を徴収するところもあるので確認が必要だ。

 住宅型ホームの生活の様子はどうか。神奈川県伊勢原市の住宅街の一角にある「風の丘」を訪ねた。

 オープンは06年春。100坪の土地に建つ一戸建てで、2階の全6室が住宅型ホームだ。1階は配食のほか、デイサービスや訪問介護など、24時間切れ目のないサービスを提供する「小規模多機能型居宅介護」が入る。1階の職員はホームの仕事も兼務している。

 2階の入居者は全員、近所のお年寄りだ。徒歩15分の距離に自宅がある女性(93)は07年に入居。9畳ほどの洋室にはベッドとクローゼットがある。週3回、1階でデイサービスを利用し、近所の人たちとおしゃべりに花を咲かせるのが楽しみだ。「大勢で暮らすのはいいですね。ここで死を迎えたい」と話す。

 認知症や心臓に持病を抱える入居者もいるが、1階には夜間も介護職員がいるため、安心感がある。

 2階にはトイレ2カ所のほか、風呂に台所、食堂がある。入居金は250万円。月の費用は家賃、光熱費、管理費、食費と介護保険の自己負担分で計20万円前後という。

 ホームの土地は、住んでいた人からの提供。建設費は地域住民から借り受け、六十数人から計7千万円以上が集まった。

 運営するNPO・一期一会の川上道子理事長は、03年に地域で仲間とデイサービスを始めた。「今後も活動を応援したいと思ってくださった方が多かったのでは」と話す。隣接する土地に、新たに8室の住宅型を建設予定だ。

 (前田育穂)

 ◇私の場合

年金で暮らせる終(つい)のすみかを 母は在宅介護を望み、きょうだいで世話をしましたが、同居の弟や近所に住む妹に負担が偏りました。その負い目もあり、自分たちの時は家族に負担をかけたくありません。とはいえ、有料老人ホームは高すぎます。近くのケアハウスを見学しましたが、食事内容が不満で決められませんでした。ぜんそくの持病もあり、不安を抱えています。今は病院やスーパーが近くにあり、部屋に緊急通報システムが備わったバリアフリーの賃貸住宅を検討しています。年金で安心して暮らせる終のすみかが、もっと増えて欲しい。(埼玉県 渡辺雅之 66歳)

安心のすまいを求めて 01年春に脳梗塞(こうそく)を発症した夫は、身体障害者1級で要介護4と認定されました。入院中、介護福祉士らが来宅し、階段に手すりをつけるなどの指導を受けました。大改装しましたが、大工さんから「設備だけを整えても、最後は介護の手が必要。奥さんがつぶれないように」と忠告を受けました。在宅介護4年、特養に入所して3年になりますが、圧倒的に女性が多いため、夫は自室に閉じこもり、テレビだけが友達です。認知症とは思いたくないですが、物忘れの度合いは年齢に比べて大きいと感じています。(千葉県 岡本桂子 72歳)

有料老人ホームのタイプによる違い

<健康型>

 【施設数】       35カ所

 【介護サービス】    要介護状態になったら退去

 【介護の費用】     -

 【介護保険の自己負担額】-

 【職員の配置基準】   特になし

 【注意点】       自分の身の回りのことは自分でできることと、介護保険を利用していないことが入居条件に

<住宅型>

 【施設数】       1486カ所

 【介護サービス】    外部の事業者と契約

 【介護の費用】     施設利用料とは別に支払う

 【介護保険の自己負担額】サービスの利用量に応じて異なる

 【職員の配置基準】   人数の規定は特になし(夜間や緊急時に対応できる介護・看護職員を配置)

 【注意点】       重度化し(おおむね要介護3以上)、24時間の見守りが必要になると、介護保険の上限額以上のサービスが不可欠になることが多い。自己負担が月数十万円になる場合も

<介護型>

 【施設数】       2321カ所

 【介護サービス】    施設の職員が提供

 【介護の費用】     利用料に含まれる

 【介護保険の自己負担額】利用量にかかわらず、要介護度別に一定

 【職員の配置基準】   看護・介護職員は要介護者3人に対して常勤換算で1人以上。入居者30人以下の場合、常勤の看護師が1人以上。24時間介護

 【注意点】       職員が基準より手厚く配置されている場合、月払いか入居時の介護一時金として上乗せ徴収されることもある。額は100万~900万円と幅が大きい

 (09年1月現在。施設数はタムラプランニング&オペレーティング調べ)

有料老人ホームの入居契約による違い

 《利用権方式》入居一時金に介護サービスを受ける権利も含む。事業主体が倒産すると退去を求められることも

 《賃貸方式》普通の賃貸契約と同じで、介護サービスは別契約。倒産しても借り主の権利は保護される

 《分譲方式》普通のマンションと同様に所有権があり、相続できる

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