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第6回

 就活TOEICの連載もいよいよ最終回。これまでのまとめと、TOEICの学習を就活のハイライトである面接にどう生かすのか、そして〈就活TOEIC〉を超えて、〈一生モノの英語〉へとどう変換していくのか――。最終回は盛りだくさんな内容になります。

 第1回の「履歴書に書けるスコア」から一貫して、この連載で強調したかったことは、みなさんがかつて大学入試のためにコツコツと学んできた知識を生かし、整理し直すことです。つまり、受験英語で得た知識の再構築、アップグレードが、履歴書に書ける最低ライン「TOEIC600点」への近道であるということです。

 そのためにはまず、リーディング・セクションで確実に得点していくこと、とくに文法項目の復習がキモである、ということでした。

 実際、就活TOEICの学習方法で、受験生時代を思い出したのか、サクサク問題が解けることを実感した生徒さんがいます。

 そして「英語ができる人」の目安となる「TOEIC730点」を獲得するには、リーディング・セクションの各パッセージにどのようにアプローチするのかをお話しました。「訳す」のではなく「探す」こと、「言い換え」となる表現を見つけることがポイントでした。また、リスニングでは正確な発音の理解が何よりも大切であることをお話したと思います。

語学力はごまかせない

 これまでの連載で紹介した学習方法は、実は、第2言語としての英語習得のために、学術的にもまた実践的にも効果があるとされてきた方法のエッセンスです。今さら英語圏への留学はできない、ふつうの就活生にとって、パフォーマンスが良い方法ではないでしょうか。

 筆者自身、オール・イングリッシュで行われていた上智大学外国語学部での授業は、最初は本当につらいものでした。留学経験のない自分にとって読み書きは何とかなっても、英語でプレゼンをこなすのは非常にハードルが高く、なぜこの大学を選んでしまったのか、と後悔することもありました。なので、社内公用語が英語になって四苦八苦しているビジネスマンの苦労がよくわかります。言いたいことがなかなか言葉になって口から出てこないもどかしさ。いくら他のスキルが秀でていても、「語学力はごまかしようがない」からです。

とにかく英語を読む

 では、どうやってこの高いハードルを超えたのか? それは、知りたい情報が英語でしか手に入らなかった環境のせいもあり(おかげもあり?)、とにかく英語を読むことを習慣づけたから、に尽きます。

 海外の最新情報が日本語に翻訳されるまでにはかなりの時間差があり、それを待っていたのではリサーチが間に合わないし、そもそも日本語だけでは情報量が絶対的に不足します。それに先端分野ほど英語での議論が活発に行われています。情報の受信と発信が英語でできることは、非英語圏(もちろん日本もですが)の人々にとって、大きなアドバンテージになります。

 日本で発行され、気軽に読める英字紙もありますし、特定の分野に強い海外のニュースサイトやジャーナルなどを読む習慣をぜひつけてください。それは就活生にとっても、大きな武器になります。

企業の英語HPもオススメ

 連載第1回で「グローバル人材」であることのわかりやすい指標がTOEICだとお話しました。ふだんどんなものを読んでいるのか? 英語をどうやって勉強したのか? と聞かれて、みなさんは英字紙や英文のジャーナルの名前をあげることができるでしょうか?

 最近は、大学で何を学んできたかを面接で聞かれることが増えてきたと言います。サークルやアルバイトの他に、何を課題としてどんな方法で学び、研究してきたのか、そしてこれまでどんな成果が出せたのか、が問われます。エビデンス(根拠や証拠)として日本語だけではなく、英語の情報にもあたるべきです。

 さらに、グローバル企業への就職を目指しているのであれば、その企業の英文のウェブサイトを見てください。例えば、TOYOTAですが、日本語版と英語版のコンテンツがどのように違っているのか。企業トップがどんなメッセージを発しているのかを、日本語と英語で読み比べるのも良いでしょう。ウェブサイトは企業の顔であり、現在の顧客や潜在的な顧客、さらには投資家への情報提供として欠かせない媒体であり、その企業のグローバル化が進めば進むほどいっそう重要になっていくからです。

英語を見直すチャンス

 就活生であれば、新聞の経済面や会社報に目を通すのは当たり前ですが、志望する企業のマインドがどんなものであり、またどこに向かっていこうとしているのかを知るべきです。そして自分ならどんな貢献ができるのかを考えましょう。それを自分の言葉で伝えることができるなら、それは大きな強みになります。

 英文のウェブサイトの閲覧に慣れる頃には、TOEICのリーディング・セクションはずっと読みやすく解きやすいように感じるはずです。こうして英語を使うことがみなさんの「当たり前」になってくれば、一生モノの英語力はちゃんと身についてきますし、それがみなさんの自信になってくれると思います。

 「就活のためにTOEICを受験しなくてはならない」という状況をポジティブにとらえましょう。英語を諦めていた人、頑張ろうと思っていたけどここまで対策をせずにきてしまった大学生、いまこそ英語を見直す絶好のチャンスです。今回のこの連載が少しでもみなさんのお役に立てることができたなら、こんなにうれしいことはありません。

 また別の機会にお目にかかりたいとおもいます。みなさん、頑張りましょう。

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筆者プロフィル

武田菜穂子(たけだ・なおこ) グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役。上智大・同大学院修了。元国連難民高等弁務官・元JICA理事の緒方貞子氏に師事。2003年同社設立。大学入試問題作成・入試問題解説に携わるほか、管理職向けのTOEIC講座を担当。学術論文の翻訳を手がけながら、現在早稲田大学大学院博士課程で政治哲学を専攻。